【面白い物語.42】映画『容疑者Xの献身』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
ボクはこう見えても(といっても顔は見せてませんが)実は、結構いい会社に勤めてます。
( ∀`*ゞ) テヘッ
福利厚生完備なので、毎年の健康診断も会社負担で無料で受けることが出来るのです。
そんなことを考えた時、ふとある声が脳裏をよぎりました。
会社「自分の身体を健診して、もっと会社に献身してね♪」
もはや抜け出せない社畜脳…。
L(゚□゚)」オーマイガ!
さて!
本日はなんとも切ない献身ぶりを見せる男が登場する、天才「東野圭吾」原作のおすすめ推理ミステリー映画のご紹介です!
『容疑者Xの献身』
【基本情報】
■メディア:映画(邦画)
■ジャンル:推理ミステリー
■放映時間:2時間8分
■発表年度:2008年
■製作の国:日本
■映像監督:西谷 弘
■脚本作家:福田 靖
■興行収入:約49億円
草野球の監督役
演:リリー・フランキー
(当時:45歳)
【ざっくりあらすじ】
平和な港である変死体が見つかり、殺人事件として捜査が始まる。
警察はある親子を第一容疑者として睨んでいたが、その親子には完璧なアリバイがあり、捜査が行き詰まる。
そこで、警察は天才物理学者である主人公に捜査協力を依頼。
容疑者のアリバイを崩そうと捜査を進める主人公だったが、そこには天才的頭脳を持つ旧友の存在が浮かび上がって来た。
【ちょっと感想】
ツカミよし!
冒頭でしっかりと「感情の揺さぶり」がデザインされおり、入り込めます。
筆者(私)はあまり推理ミステリーに強くはありませんが、それでも”実に”面白い作品でした。
湯川学、石神哲哉のキャラクターも抜群!
湯川学という天才キャラクターから、いろいろなものを学びました。
日本を代表する文豪「東野圭吾」氏の傑作、数々の賞を受賞した上、かの「エドガー賞(アメリカ主催の優れた長編推理小説賞)」候補とまでなった作品を是非ご覧ください!
追伸:
「人は時計から解放されると、かえって規則正しくなる。」
「社畜は仕事から解放されると、帰って気色正しくなる。」
実に面白い。
【映画】『容疑者Xの献身』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、日本を代表する小説家「東野 圭吾」原作のガリレオシリーズ劇場版『容疑者Xの献身』のご紹介です。
小説原作でドラマ化され、映画シリーズ第一弾としての本作ですが、とても面白い作品でした。
まずはキャストの魅力が目覚ましいです。
福山雅治が演じる圧倒的な魅力を放つ湯川学をはじめ、作り込まれた石神哲哉(演:堤真一)など、それぞれがバランスのいい個性を醸し出し、血が通った印象がありました。
ストーリー部分においても、いろいろと厚みを感じられる構成です。
・細部に染み入る人間ドラマ(石神の現状と花岡靖子(松雪泰子)への淡い恋心や、理解し合える2人天才同士、等)
・心を揺さぶる冒頭の演出(許せないクズ亭主の横暴、守られてほしい母娘)
・2人の天才の登場(最強VS無敵、湯川が勝つのは分かってるけど、石神の負けも想像できにくい。一体どんな展開になる?といった情報価値)
・キャスト勢の迫真の演技。
などなど。
推理ミステリーとしても素晴らしい作品ですが、やはり、登場人物たちに心に染み入るドラマを持たせたことで厚みが生まれていたのが秀逸だったと感じます。
少し細かい話になりますが、レギュラーメンバー(湯川学や内海薫など)にはその辺りを描かず、ゲストキャストだけに描いていたのは、情報整理としても鉄則となります。
(ごちゃごちゃし過ぎず、石神哲哉や花岡靖子のドラマと事件に集中できるから。)
唯一、主人公の湯川学と石神哲哉が学生時代の友人で価値観を共有できる天才同士であり、「あの答えは美しくない」の下りだけでスマートに関係性を描いていたのも上手いものでした。
(非協力的な湯川が事件に関わる強い動機が必要なので、この下りが必要でした。)
さて、前置きが長くなりましたが、本項では主人公「湯川学(演:福山雅治)」にスポットを当て、脚本術においての「天才キャラ」というものについて考察していきたいと思います。
といっても、天才にはいろいろなパターンや定義があると思いますので、少し的を絞りながら考察を進めてまいります。
端的に言うと、「天才」とは突出した個性があるので、いろいろとストーリー的には便利な存在です。
【1】完全無欠な能力を持ちながらも、弱点や弱みを見せる(ギャップの魅力)。
【2】もう一人の天才を登場させて戦わせる(最強VS無敵というワクワクの展開)。
【3】単独で視聴者の予想を裏切る大技を見せることが出来る(天才なら説得力ある)。
などなど。
ひとつ気を付けなければいけないことは、天才が故に、すぐに相手に圧勝してしまったり、すぐに事件を解決してしまったりすることで、物語が面白くならないことがあります。
なので、何かしらの困難や強敵などを用意し、壁や紆余曲折を作らないといけません。
しかし、その壁を難なく超えるからこそ、天才なんだろ!というジレンマが付きまといます。
そこで、オーソドックスな方法としては、【2】の通り、もう一人の天才を出して戦わせるのがオーソドックスな手法です。
で、更に、もうひとつの手法があります。
それが、本作の湯川学の通り、「素直に捜査に協力しない姿勢と性格」です。
作品の通り、湯川は物理学一筋で、警察の捜査だ、殺人事件の犯人だにはほとんど興味を示しません。
自分の興味のあることにしか行動を示さない性格ゆえ、作中では「天才(湯川学)を説得する」という壁が発生します。
しかも、天才はどこか変わり者というのがセオリーなので、湯川学のような態度と姿勢は、キャラクター設計としても説得力を増すので、合理的かつ一石二鳥です。
一見、自己中心と見えるこの性格ですが、人間関係でも、アレコレ誰にでも何にでも合わせる人より、「イヤなものはイヤ!」と断れる人の方がかえって人気があるのと同じ理論です。
また、天才はお金や名誉、物理的な報酬では動かないのもセオリーなので、説得が成功する要因はそれ以外のものです。
例えば、心や気持ちの部分、温度が伴った動機なので、視聴者の心にも染み入る演出となりやすいです。
普段は冷徹で変わり者ながら、どこか人間らしいギャップも同時の演出となるので、ここもやはり一石二鳥です。
(道を踏み外そうとしてる石神哲哉に対して「君が友達だからだ」と言うシーンなどで「人間らしところあるじゃーん!」と好感度も劇上がりです。)
天才キャラクターをきちんと仕上げるのには大変な苦労がありますが、細部まで設計することが出来れば、多くの効果を発揮することが出来ると言えるでしょう。
以上、『容疑者Xの献身』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「天才キャラ」には多くの効果が内包されている!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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