【今日のつまらない無駄話(導入)】
先日、弟家族が実家に帰省してきました。
しかし、二人の姪っ子はボクを見るなり大泣きしてしまい、完全にハートブレイク。
つい先週に行ってきたタイ旅行では「日本円見せて詐欺」に遭い、5万円もの現金をすられたばっかり。
踏んだり蹴ったりで泣きたいのはこっちだよ…。
さて!
本日は決して聞こえることのない鳴き声がタイトルとなった全世界大ヒット小説の映像化作品のご紹介です!
『ザリガニの鳴くところ』
■メディア:映画フィルム
■ジャンル:サスペンス・ドラマ
■放映時間:2時間6分
■発表年度:2022年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:オリヴィア・ニューマン
■脚本作家:ルーシー・アリバー
■原作作家:ディーリア・オーウェンズ
~小説『ザリガニの鳴くところ』
■興行収入:約136億円
キャサリン・クラーク(カイア)
演:デイジー・エドガー=ジョーンズ
(当時:24歳)
テイト・ウォーカー
演:テイラー・ジョン・スミス
(当時:27歳)
チェイス・アンドリュース
演:ハリス・ディキンソン
(当時:26歳)
トム・ミルトン
演:デヴィッド・ストラザーン
(当時:73歳)
ジャクソン・クラーク
演:ギャレット・ディラハント
(当時:57歳)
ジュリアンヌ・クラーク
演:アーナ・オライリー
(当時:37歳)
メイベル
演:マイケル・ハイアット
(当時:52歳)
ジャンピン
演:スターリング・メイサー・Jr
(当時:58歳)
とある湿地帯で町の人気者が変死体となって発見された。
容疑者として逮捕されたのは、その湿地帯で育った孤児の女性。
しかし、逮捕された女性は無実を主張する。
女性のその過去や経緯が語られながら、法廷を中心にして真相に迫っていく。
【ちょっと感想】
さすがは人気小説の映像化、終始引き込まれるものがありました。
本当の動物学者さんが執筆された作品だけあって、えも言われぬ厚みを感じます。
相当の腕が必要でしょうが、ミスリードの新しい表現技法を学ばせていただきました。
全世界1500万部突破のメガヒットミステリーを是非!
追伸:
散々な海外旅行の行き帰りの飛行機内で本作を観ました。
その面白さに沈んだ気持ちが少し紛れたような気がします。
ありがとう、“出入りは・応援’s”さん。
【映画】『ザリガニの鳴くところ』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回のご紹介は、世界的大ヒット小説の映像化作品『ザリガニの鳴くところ』です。
脅威の1500万部を突破した小説が原作となり、ファンの間でも非常に評価が高い作品でした。
内容としては、推理的サスペンス要素もありつつ、その主幹は湿地で育った孤児カイアを取り巻く人間ドラマです。
昨今では珍しい2時間超えの作品ではありますが、終始引き込まれ退屈しませんでした。
わずか6歳から孤児として一人、湿地で育ってきたという特異な経歴、そしてカイアが纏う不思議な雰囲気が潤滑油となっていたと思います。
ストーリーにとってとても重要な「心の揺さぶり」に関しても、「薄幸な少女」「利己的な上流階級者」など、大衆受けする演出がありました。
さて、サスペンス・ミステリー作品としては珍しく、強い人間的温度が宿った作品ですが、今回はその中でも「ミスリードの新規技法」という観点から考察を行わせていただきます。
まず、「ミスリード」とは、ストーリーの世界では鉄板技術です。
平たく言うと「犯人はAとBどっちだー!?」的な演出をしつつ、「実は新犯人はCでしたー!」という感じで、意表を突きたい時によく用いられます。
ご存じの通り、推理モノやミステリーもので多用され、どんでん返し等により強い印象付けの効果が期待できます。
そして、本作『ザリガニの鳴くところ』では、そのミスリードが少し面白い使われ方をしていました。
それは、「あえて容疑者をカイアだけに絞る演出をしていた」という点です。
終始、作中では基本的に「チェイスを殺したのはカイアなのか?違うのか?」といった描かれ方をしていました。
しかし、よくよく考えてみると、チェイスを殺す動機を持ったのは、カイアだけではありません。
●テイト:カイアを愛している元恋人。チェイスが不誠実な人間だと知っている。
●ジャンピン:カイアを幼い頃から知る。カイアがチェイスから酷い目に遭わされていると知っている。
●メイベル:ジャンピンと同様に幼い頃からカイアを懇意にしている。
●ジャクソン:カイアの実の父親(行方不明)
●チェイスの婚約者:カイアとの関係を知り逆上してしまった。
単純に考えて、これだけの動機的容疑者がいるにも関わらず、ストーリー展開としては基本、カイアの回想と法廷がメインでした。
サスペンス好きな方なんかは特に、この辺りにいち早く気付いていたと思いますが、ここが実はみそな部分です。
「敢えて、展開の中で容疑者たちを強くリストアップするのではなく、視聴者にそれとなく気付いてもらう」という部分が、作品に対する没頭感を強めていました。
普通、視聴者の視点をそらす目的で使われるミスリードですが、本作のように、ほんの少しずらすことで、「ボクが発見した!」という満足感を高める手法でした。
特に、サスペンス・ミステリーでは、答えや犯人を作中で明確にせず、“余韻”や”語りシロ”がデザインされることもよくありますが、このミスリード手法がそれを大衆化していたとも言えるでしょう。
(クライマックスの演出でカイアが新犯人と断定されたかどうかは置いといて)
色々な手腕と技術が上手く混在した秀逸作品と言えますが、本項では改めて「ミスリード」という技法に焦点を当てさせていただきました。
以上、『ザリガニの鳴くところ』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
(また読んでね^^♪)
「ミスリード」という技法には様々な切り口がある!
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