【面白い物語.28】映画『身代金』

■今日のつまらない無駄話(導入)
これまではメール対応が中心だったのですが、最近また、電話対応業務に戻されてしまいました。

いやぁ、電話対応って、客の操作や作業に電話つないだまま付き合わされるので、長くなるんですよ…。
あぁ、ボクの時間がどんどんとさらわれていく…。
(;_;)クスン

さて!
本日は最愛の息子がさらわれてしまう、おすすめサスペンス映画のご紹介です!

『身代金』

【基本情報】

■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:誘拐サスペンス
■放映時間:2時間2分
■発表年度:1996年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:ロン・ハワード
■脚本作家:リチャード・プライス
■興行収入:約441億円

『身代金』メル・ギブソン(トム・ミュレン役)

トム・ミュレン役
メル・ギブソン
(当時:40歳)

『身代金』レネ・ルッソ(ケイト・ミュレン役)

ケイト・ミュレン役
レネ・ルッソ
(当時:42歳)

『身代金』ブローリー・ノルティ(ショーン・ミュレン役)

ショーン・ミュレン役
ブローリー・ノルティ
(当時:10歳)

『身代金』デルロイ・リンドー(ロニー・ホーキンス役)

ロニー・ホーキンス役
デルロイ・リンドー
(当時:44歳)

『身代金』ゲイリー・シニーズ(ジミー・シェイカー役)

ジミー・シェイカー役
ゲイリー・シニーズ
(当時:41歳)

『身代金』リリ・テイラー(マリス・コナー役)

マリス・コナー役
リリ・テイラー
(当時:29歳)

【ざっくりあらすじ】

主人公は息子を誘拐され身代金を要求されてしまう。

犯人の計画的な犯行に捜査が難航する中、しびれを切らした主人公は決死の奇策に出る。


追い詰められた主人公と犯人グループは、命懸けの心理戦を繰り広げる。

みやごん

【ちょっと感想】
ありそうでなかった?とても展開で面白いです!
犯人だけが有利という一方通行でない展開が飽きさせません。
奇抜でエッジが効きつつも、分かりやすい心理戦を楽しみたい方は是非ご覧ください!

追伸:
サービス残業という名目で会社に監禁さるのは誘拐にならないんですかね?
誰か「残業代」という名の身代金を振り込んで♪

【映画】『身代金』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)

本日は名優「メル・ギブソン」主演の誘拐サスペンス『身代金』のご紹介です。
誘拐もの作品としては、とてもエッジの効いた内容でした。

「誘拐犯の首に懸賞金をかけるという前代未聞の作戦に打って出る」という突飛なアイディアながら、その影響による展開はとても丁寧に描かれていました。
ジワジワと追い詰められていく犯人グループや、リアルな不協和音など、すっと心に入って来る内容です。

本項では、本作の面白さとして、「窮地に陥る敵」という技法について考察して参ります。

冒頭でも触れた通り、本作は息子を誘拐された主人公が、息子を助け出すために、あえて犯人の首に懸賞金をかけるという内容でした。
これにより、犯人グループは国民全員からターゲットにされ、だんだんと窮地に追いやられていきます。

この「敵”“ピンチになる」というのが、ストーリー展開としては大変有効な展開です。
理由としては「一方的で変化のない展開を壊せる」という点です。

普通、誘拐劇では圧倒的に犯人たちが有利な状況です。
(誘拐劇に限らず、主人公VS敵という構造の場合、最初は一方的にやられて、終盤で逆転し、敵をやっつける、というのがセオリーです)

大切な人の命を預かっているという切り札の元、さんざん主人公たちを振り回した挙句、最後の方だけ急展開が起こり、犯人逮捕といった感じですが、これでは、展開に起伏や形勢逆転などの変化がほぼありません(あるのは最後だけ)。
途中の心理戦や攻防に面白い展開を注ぎ込むことは出来ますが、「どっちが有利か?」という大きな要因に関しては、ずっと変化がないままです。
「緊張と緩和」や「起承転結」の観点からも、あまり望ましくありません。

しかし、本作は主人公の奇策により、途中段階で大どんでん返しが起こり、犯人グループがだんだんと追い詰められていく様が描かれていました。
もうひとつ、本作が秀逸なのは、「主人公もピンチのままということです。
つまり、主人公も犯人グループも、両者平等に大ピンチで、いよいよ展開の先が分かりません。
(ピンチの種類や角度は両者異なりますが。)

つまり、「最初は敵がメチャクチャ強くて、終盤に逆転し勝利」というセオリー的展開から、主人公がピンチな状態はそのままに、相手方(犯人グループ)がだんだんとグラデーション的に追い詰められるという珍しい対立構造が、面白さを引き出していました。

「有利だったはずの犯人たちは、どうやってこの想定外のピンチを乗り越えるのだろうか?」「余裕を見せていた犯人たちは、一体どんな表情をして、どんな考えや慌てぶりを見せるのだろうか?」という情報価値(気になるポイント)も追加されています。

繰り返しになりますが、やはり、「犯人の首に賞金を懸ける。息子を返せば取り下げる。」というアイディアは、とても秀逸でした。
主人公にとっては、最愛の息子を人質に取られているので、うかつに犯人に手を出せませんが、懸賞金を狙う一般市民にとっては、子供の命はさして問題ではありません。
(息子の無事は条件に入っていないので。)
つまり、国民全員が、なりふり構わず自分たちの命を狙ってくるという、マジでガチなピンチが緊張感と興味を奮い立たせていたのです。
子どもの誘拐という大罪を犯し、引くに引けない状況ながら、子どもを返さないと自分たちの命が危ないという八方ふさがりな状況です。

一見、無理のあるアイディアと思われがちなこの奇策展開ですが、見事にプロット術に合致し、丁寧な描き方を元に最高の面白さを引き出していました。

以上、『身代金』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!

「敵も主人公も平等にピンチにすることで惰性を削減できる」

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この記事を書いた人

~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~

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