【面白い物語.29】映画『ジョンQ -最後の決断-』

■今日のつまらない無駄話(導入)
とあるDVD作品をいつでも見れるように動画ファイルに変換しようとしたのですが、何故かどんな方法をとっても上手くいきません。
(゚Д゚≡゚Д゚) ナゼダ?

ソフトを最新版にしてもダメ、
ソフト自体を変えてもダメ、
パソコンを再起動してもダメ、
ファイル形式を変えてもダメ。

最後の決断を迫られたボクは、仕方なくDVDを再生し、その映像をそのままレコーディングソフトで録画するという超絶アナログ手法を5G全盛期の時代に断行するのでした。

ちなみに、DVDの作品名はここでは(絶対)言えません。
(/∀\) イヤン!

さて!
本日は最愛の家族のために、許されざる最後の決断を迫られる男のおすすめヒューマンドラマ作品のご紹介です!

『ジョンQ -最後の決断-』

『ジョンQ -最後の決断-』
【基本情報】

■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:クライム・ヒューマンドラマ
■放映時間:1時間58分
■発表年度:2002年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:ニック・カサヴェテス
■脚本作家:ジェームズ・カーンズ
■興行収入:約102億円

『ジョンQ -最後の決断-』ジョン・クインシー・アーチボルド役(デンゼル・ワシントン)

ジョン・クインシー・アーチボルド役
(通称:ジョンQ)
デンゼル・ワシントン

(当時:48歳)

『ジョンQ -最後の決断-』デニーズ・アーチボルド役(キンバリー・エリス)

デニーズ・アーチボルド役
キンバリー・エリス

(当時:35歳)

『ジョンQ -最後の決断-』マイク・アーチボルド役(ダニエル・E・スミス)

マイク・アーチボルド役
ダニエル・E・スミス

(当時:12歳)

『ジョンQ -最後の決断-』レイモンド・ターナー役(ジェームズ・ウッズ)

レイモンド・ターナー医師役
ジェームズ・ウッズ

(当時:55歳)

『ジョンQ -最後の決断-』レベッカ・ペイン役(アン・ヘッシュ)

レベッカ・ペイン院長役
アン・ヘッシュ

(当時:33歳)

『ジョンQ -最後の決断-』フランク・グライムズ役(ロバート・デュヴァル)

フランク・グライムズ警部補役
ロバート・デュヴァル

(当時:71歳)

【ざっくりあらすじ】

ある時、主人公の息子は重度の心臓病で倒れてしまう。
助けるためには高額な移植手術が必要だが、保険が適用されず、資金が工面できずにいた。

命のタイムリミットが迫る中、病院からも見捨てられそうになった時、
主人公は病院を占拠し、人質を取るという暴挙に出てしまう

みやごん

【ちょっと感想】
社会制度の風刺を扱ったクオリティの高い人間ドラマです。
世界には厳しい社会で懸命に生きている人が大勢いる、そして、
今の自分の環境がいかに恵まれているかを再認識させてくれるような作品でもあります。
社会とはどうあるべきか、正義とは何なのか、そんなことを深く考えさせてくれる作品を是非ご覧ください。

追伸:
本作は2002年公開ですが、彼が2度目のMr.オリンピアの時なら作中は1999年です。
ググらずにこのネタが分かる人は、なかやまきんに君のYoutubeチャンネルを登録していることでしょう。
(パワー!)

【映画】『ジョンQ -最後の決断-』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)

デンゼル・ワシントン主演のヒューマンドラマ『ジョンQ -最後の決断-』のご紹介です。
キャスト陣が魅せる迫真の演技や、納得のいく分かりやすい設定(貧困、不況、保険制度、医療業界の闇)など、面白い要因が多数ありました。

そんな中、本作では特に筆者の注目を引いた「適度な演出度合い」について紹介、考察してまいります。
平たく言うと、「大げさでない、ちょうどいい演出が成されたことで、視聴者の心に深く納得を宿していた」ということです。
順を追ってご説明させていただきます。

まずストーリーのおさらいですが、ざっくり要約すると以下になります。

1.主人公の息子が重度の心臓病になる。
2.移植手術が必要だが費用が高額、かつ保険も効かない。
3.病院はお金を貰わないと手術できないし、入院もいつまでもはさせてあげられない。
(技術も設備もお金もあるのにも関わらず)
4.主人公であるジョンQ(デンゼル・ワシントン)が懇願するも、やはり強制退院になる。

一見すると、病院側の人間が薄情で悪人に見えますが、正確に言うと、悪ではありません。
ルール違反を犯してる訳ではないですし、人情としては手術してあげたいけど、病院にも事情があるので、断らざるを得ないという状況です。
(レベッカ・ペイン院長(アン・ヘッシュ)は経営者として病院を守る立場にあるので。)

あくまで悪いのは不況や医療/保険制度なので、人間として悪い人はいません。
しかし、この状況が、今回の事件や人間ドラマ、葛藤などを生み出し、面白い物語が生まれていました。

で、本作が秀逸だったのは、この部分(病院側の人間は本当は悪人じゃない)に余計な手を加えていなかったということです。

今回のような状況においては、強い悪役を作ろうと思えば、いくらでも出来ました。
例えば、
ペイン院長(アン・ヘッシュ)は私腹を肥やすため、わざと移植費用を水増ししたり、移植用の心臓はあるのに、高額で買ってくれる富裕層に順番を飛び越えて横流ししたり、など、
レイモンド・ターナー医師(ジェームズ・ウッズ)は、手術はできるけど、最低限の金額しか払わない貧乏家族のために失敗のリスクを取りたくないと執刀を拒んだり、など、

ありとあらゆる設定が可能ですが、本作ではあえてそのような過剰な演出をしていませんでした。
逆に、ペイン院長は中継される家族愛を見て涙を流し、ターナー医師は主人公ジョンQの「自分は自殺するから俺の心臓を移植してくれ」という申し出を漢気で引き受けました。
(引き受けたら医師免許をはく奪されるにのみ関わらず。)

つまり、「本当は手術してあげたいけど、制度やお金の問題でどうしてもしてあげられない」という設定を固く守り通した人物設定にしていたのです。

確かに、悪人が悪ければ悪いほど、見てる人は憎しみが沸き、悪人が倒れた時にはそれ相応の快感が得られると思いがちですが、多くの場合は逆効果です。
痛すぎるケガをしたら痛みを感じないのと同じように、過度な演出をし過ぎると心に刺さりません。
作者都合の身勝手で都合のいい演出に映り、イヤな作り話感が増してしまいます。
例え、話の内容に筋が通っていたとしても、「ご都合主義」として取られてしまいます。

奇をてらった演出をせず、大げさにし過ぎず、正々堂々と筋を通した潔い演出が、視聴者の心に刺さるというカラクリです。

また、主人公ジョンQは、息子の命を助けるために救急病棟を占拠という暴挙に出ますが、普段は善良な市民であるということから、やはり占拠中にバンバン人を殺すというシーンもありませんでした。
人質もたくさんいたので、緊迫感を高めるためには、少しずつ殺していくのがセオリーですが、この辺りも人物像設定が守られていたと言えます。

ちなみに補足ですが、本作のように、善良な人間が何かの目的のために犯罪に手を染めたり、ダークサイドに堕ちていく構成を「懲罰プロット」「闇堕ち」なんて言ったりしますが、この辺りの物語的効果は、またおいおい語らせていただきたいと思います。

以上、『ジョンQ -最後の決断-』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!

作り話だからこそ都合のよすぎる設定は逆効果!

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この記事を書いた人

~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~

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