【面白い物語.44】海外ドラマ『プリズン・ブレイク』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
社会という牢獄に閉じ込められし同志諸君、おはよう!
この世に生きる者たちはみな、囚人のようなものだ。
そんな諸君らに、本日は敬意を表すべき囚われの者たちが信念という旗の元に集い、魂をもって抗う戦士たちの話をしようではないか。
『プリズン・ブレイク』
https://www.youtube.com/watch?v=j3ltiH23kNI
【基本情報】
■メディア:連続海外TVドラマ
■ジャンル:脱獄・サスペンス
■放映話数:5 Season+特別編「ファイナル・ブレイク」(2022年現在)
■発表年度:2005年~
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:ポール・シェアリング
■脚本作家:ポール・シェアリング、他多数
■制作放送:FOX(フォックス)

マイケル・スコフィールド役
演:ウェントワース・ミラー
(当時:33歳)

リンカーン・バローズ役
演:ドミニク・パーセル
(当時:35歳)

サラ・タンクレディ役
演:サラ・ウェイン・キャリーズ
(当時:28歳)

ベロニカ・ドノバン役
演:ロビン・タニー
(当時:33歳)

フェルナンド・スクレ役
演:アマウリー・ノラスコ
(当時:35歳)

セオドア・“ティーバッグ”・バッグウェル役
演:ロバート・ネッパー
(当時:46歳)

ジョン・アブルッチ役
演:ピーター・ストーメア
(当時:52歳)

ベンジャミン・マイルズ・フランクリン
通称:シーノート
演:ロックモンド・ダンバー
(当時:32歳)

チャールズ・ウエストモアランド役
演:ミューズ・ワトソン
(当時:57歳)

ポール・ケラーマン役
演:ポール・アデルスタイン
(当時:36歳)

ブラッド・ベリック役
演:ウェイド・ウィリアムズ
(当時:44歳)

ニック・サブリン役
演:フランク・グリロ
(当時:40歳)

アレクサンダー・マホーン役
演:ウィリアム・フィクナー
(当時:50歳)

ドナルド・セルフ役
演:マイケル・ラパポート
(当時:38歳)
【ざっくりあらすじ】
主人公の兄は無実の罪で収監され、死刑が確定となる。
兄を脱獄させるため、天才設計師である主人公は、ワザと犯罪を犯し、兄と同じ刑務所に収監される。
難攻不落とされる刑務所だったが、実は主人公はその刑務所の設計に関わった人物だった。
そして、内部の経路図を全身に刺青として彫り込み、ありとあらゆる準備を施していた。
今、多くを巻き込んだ世紀の大脱出劇が始まる。
【ちょっと感想】
今まで見たアメリカドラマの中で、手放しで「面白い!」と思えたのは今のところこの作品だけです!
(と、『ウォーキング・デッド』の前半)
Season.2に関しては賛否両論あるでしょうが、「だらけ」が珍しくないアメリカ長編ドラマの中では、立派にクオリティを保っていたと感じます。
実に多くの面白さが内包された作品ですが、特に「敵”も”ピンチになる」という技法はとても印象的でした。
海外ドラマの火付け役となった『24 -TWENTY FOUR』と並ぶ、2大巨頭の一角、是非ご覧ください!
追伸:
「希望とは、満たされない者の感情だ。」
真理すぎて刺さる…。
【ドラマ】『プリズン・ブレイク』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は初の海外ドラマご紹介として『プリズン・ブレイク』をピックアップさせていただきます。
感想でも触れた通り、今までのアメリカ映画の中ではダントツに面白い作品でした(もちろん筆者の感想です)。
キャストの密度も素晴らしく、海外ドラマでありがちな「キャラクターの使い捨て(緊張感を生むためにバンバン殺す)」がなく、その死には重厚な意味が持たされていました。
現在までに5つに渡るシーズンが展開されています。
長いストーリーの中で、多種多様な展開が織り成されていることから、その面白さの秘訣や種類もいろいろです。
例えば、
「リレーション・ショートカット」
「群像劇」(グランドホテル方式)
「矛盾技法」
「窮地の敵」
などなど、この辺りの脚本術はまたおいおい別の作品で語らせていただければと思っております。
ここではやはり、タイトルにもなっている「刑務所(プリズン)もの」についてスポットを当てていきたいと思っております。
もはや、一大ジャンルといっても過言ではない、「刑務所」や「監獄、牢獄」を舞台にした作品群ですが、鉄板となるからには、当然のことながら、ストーリーとして多くの効果があるためです。
ここで全てを書くと少し長くなってしまうので、「刑務所もの」に関しては、いくつかの回に分けて、解説、考察をさせていただきたいと思っております。
本項では「刑務所もの」の大きな効果である「制限」について論じさせていただきます。
「制限」とは、言葉通り、「あれはダメ、これはダメ、ここまでならOK、でもこれ以上はダメ」などのルールや線引きのことです。
実はこの「制限」がストーリーではとても重要になってきます。
やはり、ストーリーの最大の要素というのは「対立・葛藤・ぶつかり合い」など、要は「波風を立てる」が重要になってきます。
「間違って逮捕されました。刑務所に言って無事解放してもらいました。めでたしめでたし」とか、「主人公は超能力者で魔法使いなので、どんな強敵が出て来ても一瞬でやっつけてハッピーエンド~」などでは、あっけなさ過ぎて面白くありません。
主人公の兄であるリンカーン・バローズ(演:ドミニク・パーセル)を助け出すまでに、ありとあらゆる壁、波風、障害が立ちはだかり、それらを何とか越えていってこそ、面白さが生まれます。
要は、簡単に上手くいってはいけないのです。
で、その計画の達成を難しくするのが「制限」です。
あれこれ自由にさせてもらえず、かなり不便な状況に追い込まれた方が、計画達成のためには大きな壁となって面白くなります。
その点において、「刑務所」というのは、「制限」や「不便」の宝庫です。
・塀の中で自由に動けない。
・外部の協力者と連絡を取りたいけど時間制限がって会話の内容は記録される。
・常に看守に監視されてる。
などなど。
他にも、食事も不味い物を出されて量も少ない、タバコも酒も異性もダメ、労働賃金は激安で買い物もままならない、TVや映画は月に1回だけ、など、ありとあらゆる制限がある環境です。
現世でも「貧しい」という設定を加えることで大きな制限をかけることは出来ますが、自由を含め、多方面でいろいろな制限をかけられるのは、やはり「囚人」です。
逆に何もかも100%を禁止にしてしまうと、何をどうすることも出来ないので、諦めるしかなくなってしまい、物語が終わってしまいます。
なので、80%程度を禁止にし、20%程度の自由を認めるという「制限」が重要な要素になる訳です。
閉鎖された空間で、しかも周りにいるのは犯罪を犯した凶悪犯たちばかり。
抑圧された生活を強いられずならず者たちがひとつ屋根の下、トラブルが起こるのは必至というのも、目覚ましい効果だと言えます。
特に本作『プリズン・ブレイク』は、その制限空間からの脱獄という、真っ向勝負が題材なので、この辺りの「制限」がかなり重要な意味を持ち、また面白さを生んでいたと言えるでしょう。
以上、『プリズン・ブレイク』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「監獄(プリズン)もの」には「制限」という物語的効果がある!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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