【面白い物語.45】映画『なんちゃって家族』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
かの有名大手芸能事務所の社長さんがこう言いました。
「タレント、社員を含めて弊社は全員が家族、ファミリーであると考えております!」
果たして、血のつながりがない関係で、本当に家族というものは成立するのでしょうか。
(。-`ω-) ウーム…
と、いうことで!
本日は血のつながらない人たちが即興家族となり、力を合わせて麻薬密輸するおすすめコメディ映画のご紹介です!
『なんちゃって家族』
【基本情報】
■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:クライム・コメディ
■放映時間:1時間49分
■発表年度:2013年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:ローソン・マーシャル・サーバー
■脚本作家:
ボブ・フィッシャー
スティーヴ・フェイバー
ショーン・アンダース
ジョン・モリス
■興行収入:約390億円
デヴィッド・クラーク役
演:ジェイソン・サダイキス
(当時:38歳)
ローズ・オライリー役
演:ジェニファー・アニストン
(当時:44歳)
ケイシー・マシス役
演:エマ・ロバーツ
(当時:22歳)
ケニー・ロスモア役
演:ウィル・ポールター
(当時:20歳)
メキシコ人警官役
演:ルイス・ガスマン
(当時:57歳)
ドン・フィッツジェラルド役
演:ニック・オファーマン
(当時:43歳)
エディ・フィッツジェラルド役
演:キャスリン・ハーン
(当時:40歳)
メリッサ・フィッツジェラルド役
演:モリー・クイン
(当時:20歳)
ブラッド・ガードリンガー役
演:エド・ヘルムズ
(当時:39歳)
パブロ・シャコン役
演:トメル・シスレー
(当時:39歳)
ワン・アイ役
演:マシュー・ウィリグ
(当時:44歳)
リック・ネイサンソン役
演:トーマス・レノン
(当時:43歳)
【ざっくりあらすじ】
麻薬の売人である主人公は、チンピラに麻薬を強奪されたことでボスに大損をさせてしまう。
落とし前として、メキシコから麻薬の密輸を命令されるが、入国審査が厳しく困惑する。
そこで主人公はウソの家族を装い、旅行と称して入国する作戦を思いつく。
自身を父親役とし、経済難のストリッパー(母)、不良ホームレス少女(娘)、残念な童貞少年(息子)で「なんちゃって家族」を形成。
いざメキシコへ向かうも、数々の困難に遭遇していく。
【ちょっと感想】
エモな演出が多く、軽い気持ちで見れるコメディ作品です。
(未公開シーンのドッキリとか、ああいうのっていいですよねぇ♪)
ちゃんと面白く、クオリティがありが保たれてるのが好印象でした。
(雑なシュール作品ではありませんでした。)
視聴者に上から目線を持たせる演出というのは、とても勉強になりました。
ただ、大衆性としてはほぼアウトなので、決して家族では見ないで下さい。笑
追伸:
あの童貞役の子、うらやまし過ぎでしょ…。
三人の美女とキスし放題、ボクならギャラいらない。
【映画】『なんちゃって家族』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、アメリカコメディ映画作品『なんちゃって家族』のご紹介です。
少々”いわくつき”のおもしろコメディでした。
お下品ととらえられてしまうようなシーンも多くありますが、内容としてはきちんと整っていて、クオリティのある作品だったと感じております。
国境を超えるためにニセモノ家族を作って入国するといった理にかなった設定や、道中のドタバタ劇など、後悔しない2時間を送れる作品としてご紹介させていただきました。
さて、本項では少し基本に立ち返り、ストーリーにおいての「公開された情報の効果」について、考察と解説をさせていただきます。
具体的にどういうことかというと、「作品中の登場人物たちは知らないけど、視聴者は知っている(分かっている)情報」ということです。
例えば、本作で言えば、主人公を含めた4人がニセ家族であることは視聴者は知っていますが、作中に出て来る人たちはほとんど知りません。
(フィッツジェラルド一家や麻薬組織、メキシコの国境警備員たち、など)
物語りの基本的な価値は「続きが気になる」「犯人は誰だ?」「二人は結婚できるのか?」「勇者一行は宝を手に入れられるのか?」など、隠された情報にありますが、「公開された情報」というのは、この真逆です。
ですが、こうして、あえて開示することで、視聴者に対し、面白さを演出することが出来る場合があります。
例えば、
・男子高校生が女装して女子高に潜入。周りは気づいてない。バレたら退学→ハラハラドキドキ。
・実は事件の黒幕は同じチームの目立たないアイツ!みんな早く気付いてー!→もどかしいジレンマ。
で、もうひとつ。
それが、本作で多用されていた「優越感と上から目線」でした。
例えば、
息子役の童貞くんが毒蜘蛛に噛まれて股間が晴れた展開がありました。
医者の見解では安静が必要だといいますが、父親役の男は、息子の安全より帰国を急ごうをします。
それを見た医者は、「それでも父親か?」と、その態度に呆れかえります。
これを見たときに、視聴者は、
「ふふふ、実はこの家族ってニセモノ家族で血が繋がってないんだよねぇ~。父親役の男は早く麻薬届けないと命が危ないって事情があるんだよねぇ~。」
と、完璧に状況を理解している視聴者には、ある種の優越感が生まれるカラクリです。
他にも、息子役の童貞くんが母親役のストリップに見とれるのも、息子役の童貞くんが好きな子に対して「あれは家族じゃない!」と口を滑らせてしまうのも、この手の演出です。
4人は事情あってニセ家族を演じているということを理解している視聴者だからこそ、「ふふふ、実はねぇ~」とほっこりした優越感を感じることが出来るのです。
以前、『古見さんは、コミュ症です』という作品の考察において、「キャラクターに対する上から目線」という技法を考察いたしましたが、本作のように、「状況」にも上から目線をデザインすることが可能です。
情報の秘匿も開示も、それぞれパターンによって効果が微妙にことなるので、それぞれは使い分けが必要です。
かなりバランスセンスが試されるところですが、隠すところは隠して、見せるところは見せるとすると、よりハイクオリティな作品として仕上がる傾向があります。
本作は土台がコメディ作品であることから、この「優越感」を多用したことが、とてもマッチしていました。
以上、『なんちゃって家族』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
あえて視聴者へ秘密を明かすことで現れる効果がある!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
コメント