【面白い物語.53】連続TVドラマ『半沢直樹』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
恐らく会社はボクに対して、将来的に大きな出世と働きを期待して採用したのでしょう。
現場で教育し、給料を払い、さまざまな投資をしてきてくれたんだと思います。
そしていつか、投資した分を働きとして倍にして返してもらおうというのが会社の本音でしょう。
そんな期待を見事に裏切るかのように、いまだに平社員で大した仕事をしていません。
最低限の給料をもらい、最低限の働きしかしない、窓際族の真っ盛りです。
どうも、企業の不良債権こと、みやごんです。
((┓( ̄∀ ̄)┏))ケラケラ
さて!
本日は不運にも5億もの不良債権を背負わされた男が、ド根性な働きで悪人どもに倍返しする超大ヒットおすすめ連続TVドラマのご紹介です!
『半沢直樹』
【基本情報】
■メディア:連続TVドラマ
■ジャンル:銀行・リベンジドラマ
■放映話数:全10回(1話54分)
■発表年度:2013年
■製作の国:日本
■映像監督:福澤 克雄
■脚本作家:八津 弘幸
■原作作家:池井 戸潤
『オレたちバブル入行組』
『オレたち花のバブル組』
■最高視聴:42.2%
【ざっくりあらすじ】
主人公は幼い頃、悪徳銀行員によって父を自殺に追い込まれた。
その復讐を果たすため、主人公は敢えてその銀行員が働く銀行に就職する。
虎視眈々と出世を目論む中、上司の理不尽により、左遷の窮地に追い込まれる。
【ちょっと感想】
愉快、痛快、爽快で快感!
とっても、とっても面白いドラマでした。
最終回なんて、日本国民の2人に1人は見てるんですから、紹介する必要なんてないかもですね。
逆に言うと、半分の人は見てない!?
あるまじきです、その半分の人は、人生の半分を損しているのです。
こういう復讐劇が共感を得て流行るというのも、どこか悲しい日本社会を象徴していますねぇ笑
「こういう復讐劇の演出もあるんだな」と、とても勉強になりました。
かの『Beautiful Life ~ふたりでいた日々~』を抜き、日本ドラマ歴代視聴率第3位と言われている傑作を是非ご覧ください!
追伸:香川さん、倍返しされちゃいましたね…。
【TVドラマ】『半沢直樹』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、本ブログ初の日本連続TVドラマとして、『半沢直樹』をご紹介させていただきます。
2013年に、第一弾が発表され、まさに社会現象となるほどの大ヒットを飛ばしています。
(翌年2014年には『痛快TV スカッとジャパン』なんてバラエティ番組まで始まりましたね。)
原作者の池井戸潤先生が銀行員として勤務されていた頃の実体験が元になっていることから、準ノンフィクションとして、深く血が通っていたことが、まず面白さの秘訣として挙げられると思います。
本作において、斜めの角度からアレコレ考察することも考えましたが、それは悪手と思いますので、ここはやはり、主人公と同様、真っ向勝負で立ち向かってまいります。
誰が見ても分かる通り、本作の真骨頂は、爽快な復讐、報復、リベンジ劇です。
理不尽な上司や組織命令に対し、主人公の半沢直樹(演:堺雅人)が鬼気として立ち向かい、最後には悪人たちを成敗する、超鉄板セオリーです。
世の中のほとんどのストーリー作品は、リベンジ劇がベースになっているといっても過言ではありませんが、なぜこの作品だけが頭ひとつ飛び抜けて面白いのか。
いくつかの要因が重なりますが、まずひとことでまとめると「地に足が着いた演出だった」という部分に集約されます。
ひとつひとつ分解しながら、解説させていただきます。
まず、第一に、悪役のみなさんが本当に憎たらしいです。
世の中には多くの悪役が登場してきますが、本作に登場するキャラクターたちは、視聴者の心をダイレクトに突いていたと思います。
理由としては、我々が日常生活の中で身近に感じる怒りや憎悪を体現していたことです。
我々がよくムカッ腹を立てる相手は、「ずるくて姑息」「自分のことしか考えない」「上から目線」「勘違い」「悪いことしてくクセに態度がデカい」など、この辺りだと思います。
以前、『アイシールド21』という作品でも類似の考察いたしましたが、登場する悪役たちは、別に殺人や誘拐、放火や強姦を犯した訳ではありません。
あくまで、権力やお金に腐敗した連中です。
罪の大きさで言えば、殺人などよりは小さいものですが、逆にこちらの方が見てて腹が立つ傾向があります。
言ってしまえば、人々は細かい性格の部分に、より敏感だということです。
「悪い奴」よりも「嫌な奴」がより、悪役感を増すことが分かります。
特に「態度」はパワーワードで、横柄な態度や勘違いを含んだ上から目線は重要です。
(スマートな態度を取ってしまっては、効果半減です。)
これらの要素を駆使し、しっかりと憎たらしい悪役を仕込み、それらに対して報復するという、痛快な快感を生み出します。
で、本作では、この「やり返し方法」においても、大きな秀逸がありました。
それは、「公衆の面前で大々的に悪事をバラシてさらし首にしていた」ということです。
要は、大衆の前で大恥をかかせていたという部分です。
よく他の作品では、クライマックスで悪役を成敗する時に、一対一や、関係者のみで相手を追い詰め、証拠を突きつけて、はい逮捕ーって展開がありますが、これでは爽快感に欠けてしまいます。
相手が当事者たちだけだと、すでに「悪い奴」って決めつけられているので、その連中に「お前が犯人だ!お前が悪者だ!」と突きつけられても、最初から嫌われてるので、ふり幅がありません。
中立な立場や、全く関係ない大勢の第三者の前で晒されることで、地位や名誉を失墜させて、「嫌われた!」を与え、プライドをズタボロにする様を演出して、より爽快感を増していました。
例えば学校で、一人の相手に「お前、この前、うんこ漏らしただろー?」と秘密を暴露されても「お願い、黙っててくれー!」と言うと思います。
しかし、全校集会の前でそれをバラされたらアウト、死にたくなるほど恥ずかしいです。
一人になら知られても、そこまで恥ずかしくないのに、大勢に知られたら立ち直れないほどの大ダメージというのは、何とも不思議なものです。
自分以外にバレてる、ということは同じなのに、その人数によってダメージが大きく違います。
昔、同じく大ヒットした反町隆史主演の『GTO』という学園ドラマでも、小栗旬をいじめていた女子高生たちが、全校集会の中で悪事を晒されるシーンがあり、大きな爽快感を生んでいました。
また、「クライムもの」や「ノワールもの」でありがちなのが、犯人を捕まえて、最後に一発どーんと殴って終わりとか、頭に銃弾をぶち込んで絶命し終わりとかがありますが、やはりそういった展開は物足りなさがあります。
要は、苦しむ時間が短く、一瞬で終わってしまうからです。
本作では、公衆の面前でジワジワと逃げ場を無くして追い詰めるという、いやらしいやり方も痛快感を担っていました。
「苦しむ時間」という面では、犯人を逮捕してハッピーエンドという展開もよくありますが、あれらは、逮捕された後のことがほぼ描かれません。
刑務所生活の地獄具合が見て取れないですし、視聴者の多くは獄中生活を経験したことがないので、リアルに感じることが出来ません。
なんなら、仕事しないでよくて、三食付きで寝床もあるし、楽なのでは?くらい思う人も多いです。
そうではなく、きちんと目視できるシーンの中で、しっかりと苦しむ姿を見れることで、復讐劇としての面白さを最大限に演出してしました。
いわば、「お上品な道徳的天罰ではなく、感情に任せた人間らしいやり返し」です。
一般人の心に直接刺さる本当に憎たらしい悪役に対し、相手が本当に苦しむことを生々しくジワジワといやらしく責め突いた泥臭い復讐劇が、面白さの秘訣だったと考察します。
以上、『半沢直樹』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「復讐劇」はカッコつけないことが重要!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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