【面白い物語.59】映画『街の灯』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
誰かぁ、誰かぁぁ、オフィスの灯を消してくれぇぇ!
もう出社したくないぃぃぃ!!
ヽ(ヽ´Д`)ヒイィィィ!!
さて!
本日はとある男女が互いに灯を与え合う、稀代の名作、超おすすめクラシックサイレント映画の代名詞をご紹介します!
『街の灯』
【基本情報】
■メディア:サイレント映画
■ジャンル:コミカル・ラブロマンス
■放映時間:1時間27分
■発表年度:1931年(日本公開:1934年)
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:チャールズ・チャップリン
■脚本作家:チャールズ・チャップリン
■興行収入:約6.2億円
放浪者役
演:チャールズ・チャップリン
(当時:42歳)
盲目の花売り娘役
演:ヴァージニア・チェリル
(当時:23歳)
花売り娘の祖母役
演:フローレンス・リー
(当時:67歳)
放浪者の相手のボクサー役
演:ハンク・マン
(当時:44歳)
【ざっくりあらすじ】
放浪者である主人公は、偶然出会った盲目の花売り女性に一目惚れしてしまう。
その女性が貧しい暮らしで困っていることを知り、何とか助けようと奮闘する。
その道中、とあるお金持ちの紳士と出会う。
【ちょっと感想】
素晴らしいの一言ですね。
喜劇王の名に相応しいのは勿論ですが、彼の素晴らしさはその言葉だけでは足りないです。
クライマックスに向けた彼の表情はたまらん!
とてもほっこりとした笑いと感動を味合わせてくれます。
歴史に名を刻むエンターティナー、チャールズ・チャップリンが送る作品の中で、最高峰と名高い名作を是非ご覧ください!
追伸:どこかに酔った勢いで2億円をくれる紳士はいないかなぁ~。
【映画】『街の灯』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、伝説的なコメディアンにして俳優「チャールズ・チャップリン」の代表作『街の灯』のご紹介です。
サイレント(無声)映画でいち時代を築いた彼の作品群の中では、Web調査なんかでも多くのサイトで1位に挙げられる名作です。
作品全体の面白はご覧いただいて感じていただくとして、本項では創作理論において、ひとつの気づきを簡単にご紹介させていただきます。
結論から言うと、ストーリーの面白さにおいて、「名前は必須条件ではない」という部分です。
本作はとても面白く、楽しめる作品でした。
しかし、お気づきの通り、登場人物たちに固有名詞は与えられていませんでした。
Wikipediaなんかを見ても、以下のように表記されています。
・放浪者(リトル・トランプ)
・盲目の花売り娘
・花売り娘の祖母
・富豪
・放浪者の相手のボクサー
*補足:「リトル・トランプ」とはチャップリンが作り出した路上生活者の通称で本作独自の固有名詞ではないそうです。
あくまで特徴や肩書のみです。
サイレント映画という性質も大きいですが、作中において、キャラクターたちの固有名詞が必要になることはありませんでした。
当然、面白さという観点においてもプラスにはなりません。
つまり、人が興味を持つのは、登場人物たちの性格や立場、肩書や職業などで、名前に関しては、その後からついてくるものだということが言えます。
基本、創作ストーリーにおいて、名前というのは、覚えなければいけない面倒な記号です。
(推理サスペンスなんかでは、登場人物たちの名前と顔と状況が一致している前提で話が進むので、一生懸命覚えなくてはいけません。)
しかし、やはりこうして「放浪者」や「盲目の女性」といった特徴を表現することで、覚えるストレスが無くなります。
類似技法として、黒人キャラならブラック、子どもキャラならおチビ、明るいお笑いキャラならひょうきん、といった感じで、視聴者への記憶ストレスを軽減できます。
ある程度、ストーリーが分かり、顔や特徴が頭の中にしみ込んで、そのキャラクターのことをもっと知りたいと思ったタイミングで名乗ると「へー!そういう名前なんだ!」という感じで分かりやすさが増加するカラクリです。
(マンガ『鋼の錬金術師』において「スカー」の本名が知りたい!となるのもこのカラクリです。)
つまり、最初から情報量ゼロの段階でキャラクターと関連性の名前を前面に押し出すのではなく、ある程度の段階に来てから名前を出すと言う、順番を入れ替える技法が、物語の浸透性を増す上では有効なテクニックと言えます。
最後まで名前を必要としないままでここまでの傑作に仕上げたのは、もちろん、監督、脚本、製作、出演、全てを担ったチャールズ・チャップリンの素晴らしい力量であることは、疑う余地はないでしょう。
以上、『街の灯』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
物語を描く上では、登場人物の名前は十分条件!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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