【面白い物語.66】連続ドラマ『今、私たちの学校は…』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
新型コロナウィルスの影響で完全リモートワークとなった「今、私たちの会社は…」ゾンビランドではなく、ゴーストオフィスとなっています。
さて!
本日は韓国エンタメ発、ウィルスに感染した怪物が狂気乱舞、おすすめ学園ゾンビドラマのご紹介です!
『今、私たちの学校は…』
【基本情報】
■メディア:連続ドラマ(Netflix)
■ジャンル:ゾンビパニック・学園ドラマ
■放映話数:全12話(Season 1)
■発表年度:2022年
■製作の国:韓国
■映像監督:
イ・ジェギュ
キム・ナムス
■脚本作家:
チョン・インソル
■原作作家:
イ・ギュジュ
チョン・ソンイル
キム・ナムス
■再生成績:91ヶ国Netflixトップ10
イ・チョンサン役
演:ユン・チャニョン
(当時:21歳)
ハン・ギョンス役
演:ハム・ソンミン
(当時:24歳)
オ・ジュニョン役
演:アン・スンギュン
(当時:28歳)
イ・ビョンチャン(科学教師)役
演:キム・ビョンチョル
(当時:48歳)
ナム・ソジュ(レスキュー隊員)役
演:チョン・ベス
(当時:52歳)
ソン・ジェイク(刑事)役
演:イ・ギュヒョン
(当時:38歳)
パク・ソナ(英語教師)役
演:イ・サンヒ
(当時:39歳)
パク・ウニ(国会議員)役
演:ペ・ヘソン
(当時:48歳)
チョン・ヨンナム(国語教師)役
演:ユン・ギョンホ
(当時:42歳)
【ざっくりあらすじ】
突然、主人公たちが在学する高校でゾンビウィルスが蔓延する。
感染者が増え、学園内は地獄絵図となる中、主人公たちは必死に逃げ惑う。
さまざまな人間模様が交錯しながら、犠牲者と感染は留まりを見せずにいた。
【ちょっと感想】
韓国ドラマの勢いは止まりません、圧倒的な脚本力でした!
次々に起こるピンチは展開を予想させない感じで、かつ理屈や伏線に沿ったきちんとした回避が繰り返されております。
惰性なく緊張感がキープされる展開が素晴らしかったです。
ゾンビものにおいて、人間ドラマを融合するのはセオリーですが、ドラマがでしゃばり過ぎず、絶妙のバランスを保っていたことも視聴者目線に立った優しさが滲んでいました。
ストーリーにおいての「成長」を「空間」に盛り込んだのは、まさにベストマッチでした。
世界中の傑作が集まるNetflixにおいて、91ヶ国でトップ10入りを果たした話題のドラマを是非ご覧ください!
追伸:
世間「強者が弱者を攻撃するのは、世の常です。」
ボク「弱くても生き残ってみせます!!!」
…そもそも、”強くなろう”という発想がないことに気付いて絶望しました。
【連続ドラマ】『今、私たちの学校は…』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回はNetflixオリジナルドラマシリーズ『今、私たちの学校は…』のご紹介です。
学校を舞台にしたゾンビパニックもので、さすがコリアンクオリティといった質の高い面白さが味わえました。
さて、今回は長文化を防ぐため、「ゾンビものの効果簡単復習」「本作の秀逸点」「物語論ワンポイント解説」の構成で考察、解説させていただきます。
まず、一大鉄板ジャンルとなっている「ゾンビもの」についての復習考察です。
詳細は以前ご紹介した『新感染 ファイナル・エクスプレス』をご高覧いただければと思いますが、ここでは箇条書きにてまとめてご紹介します。
[1]いつ、どこから襲ってくるか、誰が死ぬか分からない緊張感の演出。
[2]「緊張と緩和」の自動演出。
[3]人海戦術による、迫りくる大量ゾンビの映像迫力。
[4]葛藤ドラマの演出(家族が感染してしまった、殺すべきか、希望にすがるべきか…)
などなど。
そして、本作の秀逸点をまとめてみました。
この辺りも箇条書きにて簡単に要約させていただきます。
[a]
ただのサバイバルホラーではなく、きちんと人間模様や関係性が融合されていた(友情や恋愛、対立、孤独、家族愛)
[b]
「ディストピア(終末世界)もの」の要素を取り入れていた(食べ物やトイレがない、で親近感の演出)
[c]
登場人物のキャラクターや特徴がきちんと確立されていて分かりやすい(ヒロイン、閉鎖的な委員長、二枚目高身長、力持ちのおデブ、自己中心的なお嬢様、秀才メガネ、卑劣ないじめっ子、いじめられっ子、etc)
[d]
ハンビ(半分ゾンビ)という新設定~これは諸刃の剣ですが、緊張感を削いでしまう代わりに「気になる謎」を生み、「治ってほしい!」という希望的観測が生まれ、キャラクターを延命することが出来る。
以上、ざっくりとまとめさせていただきました。
さて、ここからが本題ですが、本作で特筆すべき点として「空間的成長譚」という概念を考察させていただきます。
とても平たく言うと、「活動の場がどんどんと広がっていった」です。
本作はウィルス感染によるゾンビものとして、パンデミック(感染大流行)の要素でした。
科学室 → 食堂 → 学校全体 → 市街全体 → 国全体、といった感じで、だんだんと感染が広まり、エリアが拡大していく構図です。
この「空間の広がり」が、見えないところでとても重要な役割を担っています。
ゾンビものの特徴を生かすためには、やはりスケールは重要な要素となってきますが、最初から世界中を巻き込んだ感染パニックとしてしまっては、それが基準でスタートするので、頭打ちになってしまいます。
そうではなく、だんだんと小さいエリアからの広がりをみせることで、エスカレート感が生まれる仕組みです。
「あぁ、感染者が外に出ちゃった!どんどん広がっちゃう!もう止めて!誰か止めて!これ以上広がったらマジでヤバいよー!」といった感じ。
通常、ストリートにおいての「成長」はキャラクターに盛り込むことが鉄板ですが、その成長を空間にデザインするのは裏方工作としてはとても秀逸だと感じております。
だんだんと少しずつ上がって行くから、その壮大さを肌で感じることが出来やすいです。
最初から月給1億円生活をしていれば、それが当たり前ですが、20万→50万→100万と、だんだん時間をかけて増えていくことで、その膨らみと成長を感じ取ることが出来るのと同じカラクリです。
「物語においてスケールとは必要なのか?」という議論もあると思いますが、この辺りは逆説的に考えると分かりやすいかなと思います。
(もちろん、ストーリーの性質や内容によりますので、今回はゾンビアクションの観点からの考察となります。)
例えば、『ドラゴンボール』で、孫悟空と魔人ブウの戦いが二人っきりの亀ハウスで行われては、みんなの協力を得たり、誰かが吸収されるピンチや、元気玉のくだりが描けません。
映画『アルマゲドン』でも、主人公たちが宇宙に行かず、地上のコンピューター室の操作だけで隕石を破壊してしまっては、やはりショボく感じてしまいます。
エリアや空間が狭いと、そもそも人数制限がかかったり、派手な動きが出来なかったりと、物理的な問題が生じてしまいます。
特にゾンビものは映像の迫力やアクションの要素が切り離せないので、やはり巨大スケールはあった方がベターです。
「感染が広がる」と「エリアが広がる」はイコールなので、ゾンビものにおいて、この「空間的成長譚」はベストマッチの構図と言えます。
以上、『今、私たちの学校は…』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「空間」や「エリア」も成長を盛り込むことが出来る!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
コメント