【面白い物語.71】映画『香港国際警察 / NEW POLICE STORY』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
香港って元々イギリスの領土だったんですよね。
で、約150年の時を経て、中国へ返されたんですねぇ~。
いやぁ、実に長い年月です。
(((-_- )ウンウン
で、ここでひとつ叫ばせて下さい。
「誰かボクの人生を返してぇぇぇぇぇ~!!!」
一体、どれだけの年月を社畜として苦しめばいいんだぁぁ!!!
ε=ε=ε=ε=((llllll´▽)ノノカエセー
さて!
本日はあのレジェンダリー・カンフースターが香港に完全復活を果たした、おすすめポリスもの映画のご紹介です!
『香港国際警察 / NEW POLICE STORY』
【基本情報】
■メディア:アジア映画
■ジャンル:香港ポリス・アクション
■放映時間:2時間4分
■発表年度:2004年
■製作の国:香港、中国、ポルトガル
■映像監督:ベニー・チャン
■脚本作家:アラン・ユン
■興行収入:2111万香港ドル
チャン・カークイ警部役
演:ジャッキー・チェン
(当時:50歳)
シウホン(巡査1667)役
演:ニコラス・ツェー
(当時:24歳)
ジョー・クァン役
演:ダニエル・ウー
(当時:30歳)
ティンティン・ロー役
演:アンディ・オン
(当時:27歳)
【ざっくりあらすじ】
優秀な刑事である主人公は、残忍な愉快犯グループによって大失態を犯してしまう。
落ちぶれた日々を過ごしていると、ある謎の青年が現れる。
彼の後押しを受け、犯人グループの逮捕に向け再奮起する。
【ちょっと感想】
エモい、エモい、エモいです!
色んなエモさと面白さがある作品、必見です!
あの刑事のシーンなんて、そりゃあもう…♪
(言いたい、言いたいけど、ネタバレがあるので…)
本作を通して「役割」というのが、登場人物に必要不可欠な要素であることに、気づかされました。
長らくハリウッドで活躍していたジャッキーが、香港映画に完全復活を果たした魂の作品を是非ご覧ください!
追伸:
未来の彼女「私たちの時はもっとたくさんの社員を用意してね。」
ボク「みんな社畜でもいい?」
【映画】『香港国際警察 / NEW POLICE STORY』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、伝説的アクション・スター「ジャッキー・チェン」が主演『香港国際警察 / NEW POLICE STORY』のご紹介です。
数あるジャッキー映画の中でも、指折りに面白い作品です。
1985年に同名で発表された映画がありますが、ストーリー上の関連性はなく、名前通り、新しい内容です。
まず特筆すべきは、前半部分。
愉快犯グループが警察グループを惨殺したことで、「主人公の落ち込み」と「犯人の凄惨具合」が同時にデザインされていました。
主人公チャン警部(演:ジャッキー・チェン)に対しては「お願い、立ち直って!」「見てられない、ガンバレよ!」という応援心理が発生しますし、犯人グループに対しては「マジで許せない!思い知らせてやる!」という怒り(コイツらがひどい目に遭うまでは納得できない!)が生まれます。
これらをツカミとして、ストーリーはいろいろな展開が巻き起こっていきます。
さて、本項では“巡査1667″ことシウホン(演:ニコラス・ツェー)にスポットを当て、「登場人物の役割」という部分について、考察させていただきます。
結論から言ってしまうと「キャラクターに役割を持たせるのは大事」ということです。
「何を当たり前なことを!」と思われるでしょうが、ここはきちんと整理し、その重要性を再認識する必要があると思っております。
まず、分かりやすい話として、主人公とモブキャラ(通行人Aみたいな人)では、圧倒的に存在感が違います。
その理由としては、持たされている役割の比重です。
主人公は事件を解決して犯人を逮捕するという最重要な役割を担っていますが、モブキャラは間を持たせるために数秒画面に映るというものです。
この役割の重さの違いが、存在感の強さに比例してきます。
で、本作で出て来る「シウホン(巡査1667)」は、この理論の本質を上手く使い、秀逸な登場をしていました。
シウホンは、かみ砕いて言ってしまうと、「いきなり現れた訳の分からない青年」です。
警察でもなければ、チャン警部の知り合いでも親族でもありません。
ストーリーの中に、いきなり割って入って来た正体不明で無関係な男です。
その上、意味不明な行動(何故かチャンにまとわりつく)を繰り返す怪しい男です。
通常、いきなりこんな訳の分からないキャラクターが出てきたら見ている方としては戸惑います。
キャラクター相関図的に言ってもなんの関連性もないので、頭は?マークだらけです。
しかし、本作において、シウホンは初っ端から多くの視聴者に好感を持たれていました。
それは「チャン警部を励まし立ち直らせる役割を担っていたから」です。
もちろん、恋人の存在や、中のいい刑事たちは理屈上、チャン警部を励ます位置にはいたのでしょうが、ストーリー的に言えば、間違いなくシウホンがそのキーマンです。
「正体の知れない男だけど、とにかくガンバレ、シウホン!早くチャンを立ち直らせてあげて!」と、自然に応援される立場でした。
このように、新しいキャラクターを登場させる場合などには、視聴者が納得する役割を与え、物語上に必要だと思ってもらうことで、嫌悪感を軽減することが出来ます。
いきなり出て来て、「え?何コイツ?」を極限まで軽減できる手法です。
また、通常、ストーリー上に新しいキャラクターを登場させる場合は、主人公や準主人公の関係者として登場させるのがセオリーです。
例えば誰かの家族、師匠、旧友、因縁の宿敵、などなど。
その「繋がり」が見えることで、「あぁ、なるほど。そういう関係性なのね」ということで輪の中に入ることが許されてきます。
(いきなり出て来ても抵抗感が少ないです。)
例えて言うと、仲良し友達グループにいきなり正体不明のヤツより、友達Aの親友ってことなら、すんなりと受け入れる感じです。
しかし、この手法には少し脆弱性があります。
何かしら関係性があれば、何でも言い訳ではないからです。
例えば、いくら、チャン警部の遠い親戚として青年が登場しても、何かする訳でもなく、ただボーっと座ってるだけでは、意味がありません。
登場することに違和感や抵抗感はありませんが、存在感は発揮されず、ただのモブキャラとなってしまいます。
少し愚痴のようになってしまいますが、昨今のハリウッド映画では、有名スターの名前を借りた準B級映画が散乱しています。
「主演:●●」と超有名俳優の名前をうたっておきながら、中身は重要性の薄い登場人物が数多く出て来て、結局誰が誰で何が起こったのか全く印象に残らない感じ。
(恐らく、有名俳優の名前を借りて若手俳優を売りたいのかなと…。)
確かに出てくるキャストは主人公の仲間だったり、部下だったりするのですが、ストーリーの内容に対し、登場人物の数が多すぎて、一人一人に与えらえた役割の濃度が薄いため、印象に残りません。
導入部分ではそこまで抵抗を持たれませんが、ストーリーが終わる頃には結局なにも面白くないという結果です。
結局、シウホンは過去にチャン警部とゆかりのある人物だったのですが、それは「情報価値」として隠しておかなければならない部分だったので、「チャン警部を励ます」という役割を担い登場させたことで、導入の抵抗感も軽減出来ていたのが、とても秀逸な部分でした。
もちろん、「役割」と言っても、視聴者が納得する重要な役割じゃないといけません。
本作ではチャン警部を立ち直らせるという、視聴者が最も望む役割をシウホンは担っていました。
そして、チャン警部を励ます動機と過去の関係性がきちんとマッチしていたことも、素晴らしい部分でした。
以上、『香港国際警察 / NEW POLICE STORY』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
登場人物には「役割」が重要!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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