【面白い物語.84】アニメ『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
あ!
気が付けば同期連中の中で最下層社員やってるのついに俺だけになってた…。
ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!
ま、縁の下の力持ちってことで♪
う~ん、こんな割り切り方ができるボクって大人~♪
(#⌒∇⌒#)ゞ
さて!
本日は町中の大人たちに異変が起きてしまう、ちょっと不思議なクレヨンしんちゃんワールドを楽しめる劇場版作品のご紹介です!
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
【基本情報】
■メディア:長編アニメーション映画
■ジャンル:ハートフル・ドラマ
■放映時間:1時間29分
■発表年度:2001年
■製作の国:日本
■映像監督:原 恵一
■脚本作家:原 恵一
■原作作家:臼井 儀人
■興行収入:14億5000万円
野原 ひまわり
声優:こおろぎ さとみ
(当時:39歳)
【ざっくりあらすじ】
敵組織の企みにより、突然、街の大人たちが子ども化してしまった。
全ての大人は見知らぬ場所へと消えてしまう。
やがて、街に残された主人公とその仲間たちも、やがて敵の組織に追われ始める。
自分たちの親や他の大人たちを取り戻すために立ち向かって行く。
【ちょっと感想】
はっきり言って、中級者向けのメッセージング作品です。
が、紹介せずにはいられない名作です!
スポンサーさん達が苦い顔をする中で、意志と情熱を押し通し、「歴代クレヨンしんちゃん映画の最高傑作」と言わしめた原監督やスタッフの皆さんの天晴れなこと!
改めて「5人組」の効用について考えさせられましたね。
しんのすけ役の矢島晶子さんが「一番好き」と言うほどの名作でもあります。
大切な何かを感じ取りたい人、じんわりとした感動を味わいたい人は是非!
追伸:
「入社日はあんなに輝いていたのに、今の俺に溢れているのは、使い道のない金と、燃えない心くらいだ…」
気が付けばこんな年齢、あの頃の自分がまるで昨日のことのようです。
本日の一曲はこの曲で決まりですね。
『Yesterday Once More』~Carpenters
【映画】『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、劇場版クレヨンしんちゃんの第9作目『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』のご紹介です。
クレヨンしんちゃん作品群では珍しく、最初から最後まで強くメッセージングが込められた作品構成でした。
それらを感じ取ってもらうため、作中でもきちんと仕掛けが成されていました。
例えば、敵役として登場する「ケン」と「チャコ」は、どこか哀愁があり、憎しみの対象となるような雰囲気ではありませんでした。
シンプルな勧善懲悪ではなく、どこか違和感があったことで、視聴者に対し「考える」や「探す」の心理が強化された構成です。
要は、視聴者に考えながら見てもらおうと「構えてもらった」というものです。
「コイツが悪い敵、しんちゃん達がピンチ。逆転して敵をやっつけろ!」という流れ作業を排除していました。
逆に、シンプルで分かりやすい構成が好きだったり、見ることに多くのエネルギーを消費したくない場合は、一定の流れ作業的な構成が好まれます。
(ご年配の方々は、分かりやすい構成である水戸黄門などが好まれる傾向にあります。)
最終的には、ケンとチャコたちは適役でありながら、罰は受けず、どこかへ行ってしまいました。
「結局なんだったんだろう?これからあの二人どうなるんだろう?」と、考える余白がデザインされています。
個人的には、最後、しんちゃんがすがりつく時のチャコの表情がなんとも言えませんでしたし、「また、家族に邪魔された」というセリフにはグッときました。
チャコは懐かしく美しい過去が奪われ、イヤな未来が来ることが分かり、自殺を図りますが、最後「死にたくない」と言います。
これは、何かに絶望して死にたいって思ってる人も、内心では「生きたい」と思ってる世間の内情を表しているのでは?と感じました。
さて、本作のような作品に関しては、筆者があれこれ秘められたメッセージを解説するのも不毛ですし、それぞれみなさん独自の解釈を味わっていただきたいと思います。
本項では、少し基本に立ち返り、「5人組の効用」について、考察していきたいと思います。
本作をはじめ、主人公を中心とした5人組のグループ構成である作品はよく見かけると思います。
・『セーラームーン』
・『ドラえもん』
・『戦隊もの』
なぜ、5人組の構成が多いのか、あれこれ調べてみると、その由来はいろいろと説があるようで、一番の有力説は歌舞伎の演目である「白浪五人男」の模様です。
(他にも、昔の中国の法律であった「五人組」が由来という説もあるそうです。)
で、登場する5人は当然のことながら、個性や性格はバラバラです。
・一枚目:主人公、リーダー
・二枚目:イケメン
・三枚目:お笑い担当で調子者
・四枚目:まとめ役(もしくは紅一点)
・五枚目:悪者やライバル(もしくは未熟者)
これらバラバラの5人がひとまとまりになって動き、ストーリーが進行していきますが、この「まとまって動く」という部分に、大きな物語的効果が存在します。
それは大きく2つで「個性が際立つ」と「内輪揉めが起こる」です。
キャラクターの一人が強い個性を放つことは当然可能ですが、それとは全く違う個性を持った人間がそばにいれば、比較対象となって、よりその個性が目立ちます。
(黒の横にある白の方が、より白さが際立ちます。)
これが、キャラクターの確立や印象強さに繋がるカラクリです。
そして、当然、個性がバラバラなので、意見の相違などを元に揉め事も起こりやすいです。
これが、軋轢や分裂を生み、物語に必須である「ピンチ」を生み出すことが容易にできます。
また、より説得力を増すためには、5人グループの中では全員の立場を平等にすることが必要です。
上下関係を盛り込んでしまうと、主従関係となり、対立が起こる確率が減ってしまうからです。
基本的には仲間であり、チームであるため、足りないところを補う展開や、一度ケンカ別れしたメンバーが再集結するエモさなど、いろいろと演出が可能です。
また、「足りない部分を補う」ということで、自然とそのキャラクターの「弱点」の演出にもつながるので、とても便利な構成と言えるでしょう。
(魅力的なキャラクターと弱点の関係性については、過去記事をご高覧ください。)
本作のみならず、クレヨンしんちゃんシリーズを通して、春日部防衛隊のメンバーは、これらの効用を大きく発揮していました。
以上、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「5人組」にはまとまって行動することで大きな効果がある!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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