【面白い物語.38】映画『ゴースト/ニューヨークの幻』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
仕事が終わり、倒れるようにしてベッドへ。
(:3」∠)
ひたすら体力を回復させ、また無感情、無気力で仕事へ戻る。
自分の意思やアイデンティティなど見る影もない。
どうも、「生きる屍」こと、みやごんです。
(꒪ཫ꒪ )
さて!
本日は屍から魂だけが現世に残ってしまった男が魅せる、おすすめ傑作ラブロマンス・ファンタジー作品のご紹介です!
『ゴースト/ニューヨークの幻』
【基本情報】
■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:ロマンス・ファンタジー
■放映時間:2時間8分
■発表年度:1990年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:ジェリー・ザッカー
■脚本作家:ブルース・ジョエル・ルービン
■興行収入:約312億円
サム・ウィート役
演:パトリック・スウェイジ
(当時:38歳)
モリー・ジェンセン役
演:デミ・ムーア
(当時:28歳)
カール・ブルーナー役
演:トニー・ゴールドウィン
(当時:30歳)
ウィリー・ロペス役
演:リック・アビレス
(当時:38歳)
オダ・メイ・ブラウン役
演:ウーピー・ゴールドバーグ
(当時:35歳)
地下鉄のゴースト役
演:ヴィンセント・スキャヴェリ
(当時:42歳)
【ざっくりあらすじ】
ある日、強盗により殺されてしまった主人公は、幽霊となり現世に取り残されてしまう。
成仏の仕方も分からず、周囲に存在を気付かれないまま、残してしまった恋人に寄り添う日々を送る。
そんな中、恋人の身に危険が迫っていることを知るが、主人公は触れることも声をかけることも出来ない。
しかし、ひょんなことから、自身の存在を唯一、感じることが出来るインチキ霊媒師と出会い事態は進展していく。
【ちょっと感想】
とっても面白いです!
独創的な設定であるにも関わらず、分かりやすく描かれていて、痛快です。
個人的に作った設定をいかに文字やセリフでないもので説明するか、勉強になります。
ウーピー・ゴールドバーグの出世作というのも納得です、いい味出してますから♪
2人の名女優をスターダムに押し上げた当時話題の名作、切なすぎる別れを迎えた2人のラブ・ロマンスの名作を是非ご覧ください!
追伸:「幽霊社員/労働力の幻」
【映画】『ゴースト/ニューヨークの幻』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、傑作ラブ・ロマンスとして名高い名作『ゴースト/ニューヨークの幻』のご紹介です。
公開当時、とても話題になり、テーマソング「Unchained Melody」は誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
二人が寄り添って轆轤(ろくろ)を回すシーンは、当時いろいろな場面でパロディされていたのを記憶しております。
本作は、いわゆる「憑きもの系」のプロットでした。
登場人物が何かしらの理由で死亡し、幽霊となり現世に残り、生きている人たちとコミュニケーションが取れない不便さを元にあれこれな展開が描かれるものです。
守護霊や天使、悪魔などが現世の人間にとり憑いて見守りながらのあれこれなんかもこの一種です。
例.『シックス・センス(1999)』『幽★遊★白書(1991)』『DEATH NOTE(2003)』
比較的、設定のあれそれは自由にできますが、基本的には相容れない世界に存在する者たち同士が不便なコミュニケーションを取りあうというギャップシチュエーションにより、面白さを引き出します。
(より細かい説明は長くなるので、ここでは割愛させていただきます。)
さて、「憑きもの系」がベースとなっている作品ではございますが、ここではあえて、別の部分にスポットを当てて、考察と解説をさせていただきます。
実は本作にはもうひとつ、代表的なプロット技法(脚本術)が内包されています。
それは「倒叙(とうじょ)もの」というものです。
よく、「倒叙ミステリー」なんて言い方をしますが、どういうことかと言うと、「視聴者側には、初めから犯人が分かっている描き方」というものです。
ストーリーの鉄板としては、真相や犯人の正体は隠し、引っ張って、最後の最後に判明、逮捕、というのがセオリーですが、あえて、物語の冒頭から犯人を明かすやり方です。
その歴史は古く、代表的な作品としては「刑事コロンボ(1968年)」や「古畑任三郎(1994年)」などがあります。
当然のことながら、楽しみ方や描き方の性質は大きく異なります。
通常のミステリーや推理ものには、「犯人は誰だ? 動機はなんだ?」といった最後のお楽しみが用意されていますが、「倒叙もの」には、それらの要素がありません。
その代わり、「倒叙もの」には別に大きなアドバンテージがあります。
それは「犯人がだんだんと苦しむ姿を見れる」という点です。
(ちと、ダークですが。笑)
犯人視点で描かれる倒叙ものでは、だんだんと追いつめられていく犯人の焦りや苦悩が描かれます。
本作はまさにその典型でした。
よく、クライム(犯罪や陰謀)系の作品で、残虐の限りを尽くした犯人が最終的にやっと捕まり、「はい、逮捕! 終了ー」で終わるものがほとんどですが、それではあまり爽快感がありません。
(その後の贖罪や刑務所での悲惨な暮らしなどが描かれることはほぼありません。)
人にはみな、信賞必罰(犯した罪の分か、それ以上に苦しめ!)の心理があるので、罪に応じた納得のいく苦しみを求めています。
しかし、本作のような作品では、それらがある程度は軽減されます。
殺したはずの主人公に幽霊として邪魔され、付きまとわれ、だんだんと正気を失いながら、最後は天罰として絶命していく下りがあるからです。
視聴者は追う者の心理がデザインされ、快感が得られます。
基本的には「推理もの」や「ミステリーもの」での鉄板技法ですが、本作は「幽霊(憑きもの)」「ラブストーリー」という要素を上手く絡めた上で、最大限の面白さが演出されていました。
「あぁぁ、犯人はコイツなのに!分かってるのに!みんな気付いてくれよー!」
幽霊という性質上、姿が見えていながら、手も足も声も出せないもどかしさが上手くマッチされていたことは、ストーリー論としても秀逸な設定だと言えます。
以上、『ゴースト/ニューヨークの幻』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「憑きもの」や「倒叙もの」という脚本技法がある!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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