■今日のつまらない無駄話(導入)
ボクは仕事柄、顧客対応なので、毎日毎日いろーんな案件に巡り合います。
例えば、
・初期不良にいちゃもんをつけて契約や約款を超える要求をするシステム担当。
・知識不足なのにハイスペックなパソコンを買って難しい設定に苦しむ高齢者。
・何をしても直らない呪われた不具合を持った可哀相な優客。
「いや、案件のクセがすげぇ!!!」(千鳥 ノブ 風)
(´皿`;)
ただでさえ、世界的半導体不足の影響で在庫欠品が続いて忙しいんです。
その上、新型コロナウィルスの影響で起こった上海ロックダウンが拍車をかける中でこの仕打ち…。
(›´ω`‹ ) タスケテ…
もう、もうメンタル限界…。
豪雨の空に向かって両腕を広げ、盛大にこの気持ちを叫び散らかしたい気分です…。
本日はその扉絵があまりにも有名な不朽の名作をご紹介なのです♪
さて!
本日は、その扉絵があまりにも有名で、ちょっと不思議な、おすすめ「クライム・ヒューマンムービー」のご紹介です!
『ショーシャンクの空に』
■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:クライム・ヒューマンドラマ
■放映時間:2時間23分
■発表年度:1994年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:フランク・ダラボン
■脚本作家:フランク・ダラボン
■興行収入:約79億円
アンディ役
ティム・ロビンス
(当時:36歳)
レッド役
モーガン・フリーマン
(当時:57歳)
ヘイウッド役
ウィリアム・サドラー
(当時:44歳)
ボッグズ役
マーク・ロルストン
(当時:38歳)
ブルックス役
ジェームズ・ホイットモア
(当時:73歳)
トミー役
ギル・ベローズ
(当時:27歳)
ノートン刑務所長役
ボブ・ガントン
(当時:49歳)
ハドリー主任刑務官役
クランシー・ブラウン
(当時:35歳)
エリート銀行員である主人公は、殺人罪で終身刑を言い渡され、
腐敗が蔓延する刑務所に収監されてしまう。
どこか不思議な空気を持つ主人公中心に、刑務所内での人間関係が大きく流れて行くが、
ある時、事件の真相を知る新入り囚人の登場により、事態は大きく揺れ動く。
【ちょっと感想】
扉絵はあまりにも有名ですよね。
比較的長編ながら、いろんな展開があり、どこか引き込まれ不思議な気持ちにさせてくれる作品でした。
「1995年に最もレンタルされた映画作品」とした語り継がれる名作を是非!
追伸:「頑張って働くか、頑張って労働するかだ…」
【映画】『ショーシャンクの空に』が面白い理由
(ストーリー論的に解説)
今回、ご紹介するのは、『ショーシャンクの空に』です。
かの有名な小説家「スティーヴン・エドウィン・キング」原作の小説『刑務所のリタ・ヘイワース』の映像化作品でした。
当時は「タイトルが分かりにくい」ということや、『パルプ・フィクション』や『フォレスト・ガンプ/一期一会』といった強力な競合作が存在したことなどで、興行成績は振るわなかったそうですが、劇場再公開やアカデミー賞にノミネートなどの功績を残した名作でもあります。
本作をご覧いただいた方は、お分かりかと思いますが、どこかちょっと不思議な雰囲気の作品でしたね。
基本的な部分として、刑務所内を舞台にした作品(「監獄もの」)には、色々な物語的な効果がありますが、そちらに関しては、また別の機会に語らせていただきます。
本作の面白さを引き出していた理由として、ずばり、「目的の秘匿と登場人物の合わせ技」という観点で解説、考察させていただきたいと思います。
ちょっと分かりにくいので、順を追ってご紹介させていただきます。
まず、ほとんどの物語においては、冒頭で、その「目的」が語られます。
例えば、
・事件が起きた、犯人を逮捕せよ。
・部員力を合わせて大会で優勝するぞ。
・許されない関係ながら、愛を伝える。
などなど。
俗に「ストーリークエスチョン」とも言われる概念です。
そのストーリーの方針や指針(軸)がしっかりと宣言された上で、その目的に向かって登場人物があれこれと動き、その様子を見た視聴者は、あれこれ思い、一喜一憂しながら楽しむ訳です。
つまり、心の中で「これをしたら達成、ハッピーエンドだ!」という「ゴール」が設定されるのです。
逆に、
「このストーリーの目的はなんですか?」
「いや、別に決まってないよ。」
なんて言われてしまうと、
「いつまで見ればいいんだ…?」「今、AがBを倒したけど、これはいいことなのか…?」など、ちぐはぐした気持ちなってしまい、不快やストレスを感じやすくなってしまいます。
(気持ちの置き所が分からず、誰を、どの角度から、どう見て、何をもって成功として観ればいいか分からない。)
そして、ここからが本作『ショーシャンクの空に』の内容に切り込んだ内容になります。
実は、本作では、あえて、全体を通して「目的」が大々的に宣言されていない構成でした。
脱獄することなのか、再審してもらい無実となることなのか、出所は諦め刑務所内で頂点に上り詰めることなのか、よく分かりませんでした。
(主人公だけが助かることなのか、仲間全員でなんとかすることなのかも曖昧な雰囲気でした。)
ストリート論のセオリーではデメリットと思われるところですが、本作においては、それが功を奏していました。
なぜ、あえて「物語の目的(ストーリークエスチョン)」を曖昧にすることで面白さが引き出されていたのか。
それを可能にしていたのは、主人公アンディ(ティム・ロビンス)の存在でした。
彼はどこか不思議な空気を纏っており、いわゆる「何を考えているか分からない」といった感じでした。
自分は酒を止めているのに、命を懸けて仲間にビールを振る舞ったり、ボコボコにされることが分かっているのに、刑務所内に素敵な音楽を流したりと、つかみどころのない性格をしています。
これらの演出が、「もしかして、アンディは別に出所なんてしなくてもいいと思ってるんじゃないか?」という、小さな種を植えることに成功していました。
もちろん、途中で再審をノートン刑務所長(ボブ・ガントン)に迫るシーンがあったので、出所が目的であることは分かりますが、ベテラン囚人ブルックス(ジェームズ・ホイットモア)の出所シーンにおいては「出所しても居場所がない」という描写もあり、やはりその目的はどこか釈然としません。
物語の雰囲気や展開を通して、大々的に「脱獄するんだ!」という感じではありませんでした。
分かりやすい性格で「刑務所なんてイヤだー!」といった主人公では、これらの技法は成立しませんが、不思議な性格のアンディが主軸となることで、上手く目的を隠した上で、途中、色々と面白い展開を成立させていました。
「なんかアンディって不思議なやつだな、何考えてるんだ?何が目的なんだ?」という視聴者の興味を生んでいたのです。
つまり、
「脱獄を目的としている主人公がどうやってこの絶望的な状況から脱獄するのか?」
ではなく、
「何を考えているか分からない主人公が、この後何を起こすのか? 最終的にどうなるのか?」
という方向に視聴者の興味をシフトしているのが、本作でした。
最終的に、主人公のアンディは脱獄を成功させ、ハッピーエンドを迎えますが、視聴者の意識を「脱獄できるのか!?」という部分からそらさせていたので、どんでん返しのインパクト的効果もバッチリでした。
(専門用語では「信頼できない語り手」という技法です。)
もちろん、登場人物たちのキャラクターが相当魅力的でないと成立しないですし、人間ドラマや展開としての面白さがあってこそなのですが、一風変わった趣として、こういった技法が駆使されている部分が面白さを演出していました。
蛇足ですが、本作には、女性の登場人物がほぼ出てきません。
女性が出てこず、恋愛要素もほぼ排除した上でここまでの作品にしたのは、本当に剛力作品だと感じております。
以上、『ショーシャンクの空に』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧、ありがとうございました!
物語は、最初にその「目的」が語られる!
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