【面白い物語.80】映画『ダイ・ハード2』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
社畜だけが常用できる麻薬をご存知ですか?
その薬物の名前は「プラス思考」です。
さて!
本日は一人の麻薬王を巡って、大規模なテロが発生、その場に居合わせた、世界一運の悪い男が再び暴れ回るおすすめアクション映画のご紹介です!
『ダイ・ハード2』
【基本情報】
■メディア:映画
■ジャンル:アクション
■放映時間:2時間4分
■発表年度:1990年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:レニー・ハーリン
■脚本作家:
ダグ・リチャードソン
スティーヴン・E・デ・スーザ
■原作作家:ウォルター・ウェイジャー
『ケネディ空港/着陸不能』
■興行収入:約353億円
ジョン・マクレーン役
演:ブルース・ウィリス
(当時:35歳)
ホリー・マクレーン役
演:ボニー・ベデリア
(当時:42歳)
カーマイン・ロレンゾ署長役
演:デニス・フランツ
(当時:46歳)
エド・トルドー役
演:フレッド・トンプソン
(当時:48歳)
レスリー・バーンズ役
演:アート・エヴァンス
(当時:48歳)
ウィリアム・スチュアート大佐役
演:ウィリアム・サドラー
(当時:40歳)
グラント少佐役
演:ジョン・エイモス
(当時:51歳)
オライリー役
演:ロバート・パトリック
(当時:32歳)
ラモン・エスペランザ役
演:フランコ・ネロ
(当時:49歳)
サマンサ・コールマン役
演:シーラ・マッカーシー
(当時:34歳)
アル・パウエル役
演:レジナルド・ヴェルジョンソン
(当時:38歳)
リチャード・ソーンバーグ役
演:ウィリアム・アザートン
(当時:43歳)
ビトー・ロレンゾ刑事役
演:ロバート・コスタンゾ
(当時:48歳)
【ざっくりあらすじ】
クリスマスイヴのアメリカでハイジャックが起きる。
犯人たちの要求は、護送中の麻薬王を解放することだった。
従わなければ、全ての飛行機を墜落させると脅してくる。
主人公の刑事は、妻の迎えのため、たまたまその空港に居合わせる。
彼の妻もまた、遥か上空で、乗っ取られた飛行機に乗っていたのだった。
【ちょっと感想】
続編ですが、ちゃんと面白いです!
前作を引き継ぐ黒人刑事とのエモな関係、搭乗していたおばあちゃんのひと踏み、サブキャラの確立など、素晴らしい演出の数々でした。
特に、あの粋なエンディングはもうバツグン!
「内側に敵を作る」という秀逸を復習させていただきました。
シリーズ続編としての期待を裏切らない面白さ、是非ご覧ください!
追伸:「え!?またノルマ強化と罰則引き上げ…? Yippee-Ki-ay MotherFucker!!!」
【映画】『ダイ・ハード2』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、世界的大ヒットアクションシリーズ第二弾『ダイ・ハード2』のご紹介です。
世界一、運の悪い男、「ジョン・マクレーン」を主人公とした、テロリスト・アクション。
舞台は超高層ビルから空港へと変わったことで、人質は遥か上空、直接助けることが出来ないという、より困難な状況に直面します。
さて、サブキャラたちにもきちんと血を通わせた作りが面白さを引き出している本作ですが、本項では脚本術の観点から「内側の敵」という技法について、考察、解説させていただきます。
「内側の敵」とは、「形式上や立場上は味方だけど、協力してくれない人、または邪魔する人」の総称です。
例えば、主人公の医者は病気に苦しむ患者を手術してあげたいけど、その患者はお金を持っていないので、医学部長はその患者の入院を阻止しようとする、的な感じです。
同じ医者であり、同じ病院内の人間ですが、立場や利害関係、価値観などの相違で、主人公の目的を邪魔するのがよくある展開です。
刑事ものや警察ものなんかでも、現場捜査や犯人逮捕を許してくれない官僚警官など、この辺りの展開が頻繁に描かれます。
これらのストーリー的効果としては、もちろん、すんなり事件を解決させないためです。
実際の敵だけではなく、内部に敵を作ることで、ハードルを増やし、山場を増やすことが出来ます。
本作では、空港警察の署長であるカーマイン・ロレンゾ(演:デニス・フランツ)がその人でした。
よそ者であるマクレーンに縄張りを荒らされたことで敵対視し、マクレーンの忠告を聞こうとせず、一切忠告を聞こうとしませんでした。
これにより、被害は拡大、テロリストの計画を順調に進めてしまう結果となります。
同じ警察官であり、テロリストを逮捕しなければならない立場にも関わらず、仲間割れの一途をたどります。
本作がまず秀逸だったのは、ロレンゾ署長がマクレーンに協力しない理由に「気に食わない」という感情的な理由をつけ足したことでした。
もちろん、空港警察の現場や事情を知らないマクレーンが無茶難題な提案をし、「それは物理的に許可できない」という部分もありますが、やはり、「何も知らないくせに、仕事を増やしやがって」という感情的な部分でマクレーンの敵になったことで、血の通った展開が描かれていました。
彼の見た目や演技も重なり、とても説得力のある描写になっています。
また、これら「内側の敵」には、いくつか補足的な効果が存在します。
まず、「倒すために力技が通用しない」という点です。
相手が悪人やテロリストなら、撃ち殺してしまえばいいのですが、「内側の敵」は立場上は善良な市民であり、味方なので、そういう訳にはいきません。
そして、権力を持ってることも多く、主人公側の立場が圧倒的に不利です。
説得をしようにも、そもそも利害関係が違うし、相手はいい大人なので、素直に「はい」なんて言ってくれるはずもありません。
とても、もどかしい寸止め戦の繰り返し、プロボクサー同士がつねり合いで決着をつけなければいけないような感じで、とにかく厄介な敵となってくれます。
ただし、基本的な立場は味方であるので、何かしらのきっかけで主人公に全面協力の姿勢を見せてくれれば、反動で大きな力になります。
障害が取り除かれるだけでもありがたいのに、その人が味方となって戦ってくれれば、倍々ゲームとなります。
起承転結で言うところの「転」として、大変有効な隠し玉としても、活躍してくれます。
仮に、ロレンゾ署長のように、大きな戦力となってくれなかったとしても、今までいがみ合っていた二人が理解し合うことで、視聴者側からすれば「気持ちがひとつになった!」という大きな快感が得られるので、やはり有効性の高いキャラクター属性と言えます。
本作ではそれが、エンディングのあのシーンで絶大な効果を発揮していました。
以上、『ダイ・ハード2』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「内部の敵」は本当の敵よりも厄介になりえる!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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