【面白い物語.46】映画『デス・レース』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
ここで今週の天気をお知らせします。
平野部は晴れ、穏やかな気候で安定した雲の流れとなるでしょう。
週末は素敵なパートナーを乗せ、ドライブデートなどはいかがでしょうか。
ここで緊急速報です。
ニュースストーリーの調べによると、筆者には助手席に乗ってくれる美女がいないことが判明がいたしました。
さて!
本日は世界でもっとも危険なレースが開催される場所で、腕自慢のドライバーたちが助手席に美女を乗せて暴れ回るおすすめバイオレンス・カーアクション作品のご紹介です。
『デス・レース』
【基本情報】
■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:バイオレンス・カーアクション
■放映時間:1時間50分
■発表年度:2008年
■製作の国:アメリカ、ドイツ、イギリス
■映像監督:ポール・W・S・アンダーソン
■脚本作家:ポール・W・S・アンダーソン
■原案作家:ポール・W・S・アンダーソン
■興行収入:約110億円
ジェンセン・エイムズ役
演:ジェイソン・ステイサム
(当時:41歳)
エリザベス・ケース役
演:ナタリー・マルティネス
(当時:24歳)
リスト役
演:フレデリック・コーラー
(当時:33歳)
クレア・ヘネシー役
演:ジョアン・アレン
(当時:52歳)
T.ウーリック役
演:ジェイソン・クラーク
(当時:39歳)
ジョセフ・“マシンガン・ジョー”・メイソン役
演:タイリース・ギブソン
(当時:30歳)
スロボ・パチェンコ役
演:マックス・ライアン
(当時:41歳)
ヘクター・グリム役
演:ロバート・ラサード
(当時:45歳)
【ざっくりあらすじ】
主人公は何者かに妻を殺された上、無実の罪で収監されてしまう。
刑務所の女所長は、囚人が参加する死のレースをTV番組として運営していた。
更なる視聴率獲得のため、女所長は腕利きの主人公に対し、ある提案を投げる。
それは、釈放と一人娘の安全をかけてレースに参加せよというものだった。
美人女性囚人を助手席に乗せ、死のレース開始の合図が鳴り響く。
【ちょっと感想】
ステイサム様、やっぱりカッコいいですね♪
サブキャラもきちんとキャラが立っていて、分かりやすい内容でした。
人間ドラマを垣間見えさせるのをコーチ(演:イアン・マクシェーン)のみに絞ったのも、すっきりした構成でグッドでした。
緊張と緩和をキャラクターの存在のみで生み出す技法については、とても参考になった作品です。
カッコいい車やカーレースもの好きな人は必見ですが、そうでない方もしっかりと楽しめる良作を是非ご覧ください。
追伸:
受験競争、就職戦争、高齢化社会に悲惨なニュースの数々。
まさにこの現代社会こそが「デス・レース」です。
【映画】『デス・レース』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
本日は、現代のアクション・スター「ジェイソン・ステイサム」主演のバイオレンス・カーアクション『デス・レース』のご紹介です。
『トランスポーター』シリーズでも見事な主演を演じたジェイソン・ステイサムですが、彼の運転模様が見事に健在な楽しめる作品でした。
凶悪犯が収監される刑務所を舞台ということで、俳優陣のキャスティングもマッチしていました。
肝心のレースにおいても、ゲーム性や、派手なメカニック設定が盛り込まれているため、ファンタジー要素の強いレーシングものです。
さて、ストーリー展開や陰謀のあれこれ、登場人物たちの動機なども分かりやすくデザインされている良作ですが、本項では、登場人物の一人、「リスト(演:フレデリック・コーラー)」にスポットを当て、彼というキャラクターが生み出していた物語的効果について考察、解説させていただきたいと思います。
結論から言うと、「リストという存在が緊張と緩和を生み出していた」です。
よくお笑い論なんかでも「緩急」や「緊張と緩和」なんて言ったりしますが、ストーリーにおいても重要な部分です。
ずーっと緊張状態のままだと疲れたり、飽きたりしますし、ずーっと緩やかな状態だと、そもそも山場がないので面白くありません。
バランスよく交互に来るのが理想です。
なので、ストーリー構成において、ほのぼのしたシーンと、手に汗握る怒涛のピンチなんかを交互に演出するのがセオリーなのですが、本作では、その上位技術が使われていました。
それが、囚人のデータを記憶する気弱なキャラクターとして登場した「リスト」の存在です。
凶悪犯ばかりが収監されている刑務所において、彼はとても浮いた存在でした。
いじめられっ子のような物腰でおどおどとした気弱な青年です。
周囲がいかつい見た目の凶悪犯ばかりで、常に緊張が走る中、彼の姿を見ると、どこかほっこりとした気持ちになり、少しの安心感が生まれます。
つまり、展開や事件、山場やピンチなどを描かなくても、彼という周囲とは正反対の存在が画面に映ることで、自然とわずかな緊張と緩和が生まれているのです。
また、刑務所という舞台設定から、凶悪な面構え、大柄で屈強な男たちばかりが登場し、暴動や睨み合いが続くことで、少なからず、視聴者には緊張感を与え続けます。
強くて怖い連中ばかりの刑務所ないで、彼のようなひ弱な存在が生活していることで、「リストでもこの環境で生きていけてるなら、オレでもあの中に入って何とかなるかも?」という潜在意識も発生します。
つまり、自分とは遠く離れた道の異世界に対し、「心理的な入口」としての役割も兼ねている存在です。
少々問題のある例えかもですが、アイドルグループにおいても、全員がとびきりの美人揃いではなく、中には中位の見た目をしたメンバーが存在することで、「私でもなれるかも、応募してみよう!」という気持ちを誘発する理論と同じです。
例えば、他の作品で言うと、「おとぼけ」「ボケキャラ」「ひょうきん者」などのコメディ調のキャラクターがその役割を担うことが多くあります。
本作のリストは、勇気を出して主人公のジェンセン・エイムズ(演:ジェイソン・ステイサム)を助けるなど、ギャップによるエモい演出なども、素晴らしい効果でした。
以上、『デス・レース』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
「緊張と緩和」はキャラクターの存在で生み出せる!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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