【面白い物語.40】映画『カサブランカ』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
先日、Twitterで知り合った方が経営するスナックに初めて訪れました。
隣には、たまたま関東からいらしていた50代の男性が座っており、仲良くお話させていただきました。
(ここのスナックの広告を自社運営するWebサイトに掲載するにあたってご挨拶で訪れていたそうです。)
そして、話の流れで彼女さんの話になり、なんと、その方がお付き合いしているのはモデル顔負けの27歳スレンダー美女でした。
一方、ボクは独身貴族の彼女無し。
グラスを傾け、こう言いました。
「完敗…」
o(_ _)o~† パタッ
さて!
本日は「完敗」ではなく「乾杯」の名セリフが有名な不朽の名作、おすすめクラシック作品のご紹介です!
『カサブランカ』
【基本情報】
■メディア:映画(クラシック)
■ジャンル:ラブロマンス・ドラマ
■放映時間:1時間42分
■発表年度:1942年(日本公開1946年)
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:マイケル・カーティス
■脚本作家:
ハワード・コッチ
ジュリアス・J・エプスタイン
フィリップ・G・エプスタイン
■興行収入:約4.9億円
リック・ブレイン役
演:ハンフリー・ボガート
(当時:43歳)
イルザ・ラント役
演:イングリッド・バーグマン
(当時:27歳)
ヴィクトル・ラズロ役
演:ポール・ヘンリード
(当時:37歳)
ルノー署長役
演:クロード・レインズ
(当時:53歳)
シュトラッサー少佐役
演:コンラート・ファイト
(当時:49歳)
【ざっくりあらすじ】
ナチス・ドイツ軍が戦火を広げる世界大戦の最中、主人公はカサブランカ(モロッコ)で酒場を経営していた。
ある日、突然その酒場に、かつての恋人だった女性が、今の夫と共に現れた。
主人公は過去、納得のいかない別れだった元恋人の女性に未練を募らせ苦悩する。
過去の別れ、これからの未来、時代に翻弄された3人の男女は究極の決断を迫られる。
【ちょっと感想】
数あるクラシック映画の中でも、指折りの名作として現代に名を馳せる名作ですね。
納得です!
ラブストーリーというものに、ここまで没頭したのは初めてかもしれません。
名台詞、エモいシーンも多く、1940年代にこんな名作が生まれていたのは驚きです。
(リックがブルガリア人女性のアニーナを助けるシーンなんか、マジでエモい…)
ラブストーリーに関しての脚本術は未だ開拓中ですが、「ラブストーリーで大衆受けするには視聴者が気になるポイントを特に絞る」という部分はとても参考になりました。
「君の瞳に乾杯」という名言を生み出し、アカデミー賞3部門を受賞した世紀の傑作を是非ご覧ください!
追伸:
上司「みやごん君、昨日お願いした書類は?」
ボク「そんな昔のことは覚えていない。」
上司「明日までに提出できるの?」
ボク「そんな先のことは分からない。」
【映画】『カサブランカ』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は、クラシック映画ご紹介第一弾として、不朽の名作『カサブランカ』を取り上げさせていただきます。
もしかすると、聞いたことない人も多い作品名かもしれませんが、是非とも観ていただきたい映画です。
主人公の「ハンフリー・ボガート」と、ヒロインの「イングリッド・バーグマン」は、共に「アメリカ映画における50名のスター俳優」にリストされており、お二人の存在感も抜群です。
さて、今回は具体的な方法論を交えつつ、メインは本作の魅力を語る形式で解説と考察をさせていたければと思います。
(感想よりであること、ご海容ください。)
本作の面白さは、何と言っても「気になる!」が秀逸にデザインされていたことでした。
言えば、物語の基本的な価値は全て「続きが気になる」「結末が気になる」などですが、この映画では、時代背景や出来事、登場人物たちのキャラクター設定などが、うまーく絡み合って見事なバランス感覚を成していました。
(この辺りの細かい説明は長くなるので、割愛させてください。)
で、この「気になる(情報価値)」には、色々な種類があるのですが、代表的なものとしては、「これからどうなる?(結末が気になる)」と「どうしてこうなった?(過去のいきさつが気になる)」があります。
作品をご覧いただいた方はお気づきかと思いますが、本作はその両方が強くデザインされていました。
・「どうしてあんなに順風満帆に愛し合っていたのに、イルザ(イングリッド・バーグマン)は理由も言わずに去ったんだ? しかも、夫を連れてる。どういうことだ!?」
→「どうしてこうなった?(過去)」
・「この3人、致し方ない理由で三角関係になってしまって、基本は誰も悪くない。こんな状況で主人公は一体どうするんだ? 助けるの? 見捨てるの?」
→「これからどうなるの?(未来)」
多くの作品はこの「過去に秘密を持たせる」「未来に秘密を持たせる」のどちらかに寄ったものですが、本作は両方見事なバランスで興味を引いていました。
特に、最初にヒロインのイルザが主人公のリック(ハンフリー・ボガート)の店に入って来た時、イルザは濁りの無い目で真っ直ぐとリックを見つめていました。
このシーンを見て、「え? リックを意味不明にフッておいて、自分は別の男と結婚して、その夫を元彼の目の前によこしておいて、どうしてそんなに後ろめたさがないの?」と、イングリッド・バーグマンの演技力が強い引き(気になる)を演出していました。
そして、その理由はご存じの通りです。
イルザが悪い訳ではなかったし、イルザがリックを愛していた気持ちも本物だったからでした。
この別れの理由も素晴らしく、視聴者にきちんとした納得感を与えていたことが秀逸でした。
正直なところ、恋愛や惚れた腫れたの理由なんて人それぞれですし、好みや価値観も千差万別です。
「何となく冷めたから」とか「彼のあの行動が許せなかったから」とかの理由で別れたと言っても嘘じゃないのですが、視聴者の気持ちとしては「はぁ…。」といった感じになり、白けてしまいます。
この辺りは言ったもん勝ちなところがありますが、大事なのは「正しい間違い」ではなく「その理由に納得できるかどうか」です。
本作はその辺りに圧倒的なファクト(不可抗力で誰しもが納得する事実)が盛り込まれていたことで、視聴者の置き去りを防いでいました。
(いくらファクトでも「突然、知らぬ男に催眠術を掛けられました(ご都合主義)」とか「悪魔が現れて魔法にかけられました(ファンタジー要素の横入り)」というのは論外です。)
物語りとして、過去や未来に謎や気になる点を作るのは必須ですが、それらが本当に気になるものでないといけないので、そこまでの導線(伏線や演出)の技術は重要ですし、結果として、その理由が本当に納得できるものでないと、面白さは生まれにくいです。
本作は第二次世界大戦下、ナチス政権の侵略が舞台ではありましたが、ラズロが抵抗運動の指導者で、逮捕された際に死んだと聞かされていた、という理由は、視聴者側での予想は難しいので、この辺りの設定の妙も、とても素晴らしいものだったと思います。
以上、『カサブランカ』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
情報価値には「過去」と「未来」の設定がある!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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