【面白い物語.17】映画『オペレーション:レッド・シー』

■今日のつまらない無駄話(導入)
会社「今日から●●グループ会社の案件も追加でお願いね~。」
僕ら「そんなことまで請け負ったら僕ら死んじゃいますよ!」
会社「でもそんなの関係ねぇ~!」
僕ら「はい、おっ(お前らの)ぱっ(パワハラに)ぴっ(ピリオドは無いのか?)~♪」
(小島よしお 風)

ボクらサラリーマンは、日々追加されるノルマに阿鼻叫喚する毎日、流された血の涙は、やがて海へと流れ着き、海面を赤く染めることでしょう…。

さて!
本日は中国発、記録的メガヒットを飛ばした、おすすめ軍隊戦争アクション作品のご紹介です!

『オペレーション:レッド・シー』

映画『オペレーション:レッド・シー』
【基本情報】

■メディア:映画(中国)
■ジャンル:ミリタリー・アクション
■放映時間:2時間23分
■発表年度:2018年
■製作の国:中国、香港、モロッコ
■映像監督:ダンテ・ラム
■脚本作家:ダンテ・ラム
■興行収入:約606億円

『オペレーション:レッド・シー』ヤン・ルゥェイ役(チャン・イー)

ヤン・ルゥェイ役
チャン・イー
(当時:40歳)

『オペレーション:レッド・シー』ドン・リー役(ジャン・ルー・シャー)

ドン・リー役
ジャン・ルー・シャー
(当時:32歳)

『オペレーション:レッド・シー』チャン・ティエンダ役(ワン・ユー・テン)

チャン・ティエンダ役
ワン・ユー・テン
(当時:31歳)

『オペレーション:レッド・シー』ガウ・ユン役(チャン・ハンユー)

ガウ・ユン役
チャン・ハンユー
(当時:54歳)

『オペレーション:レッド・シー』シャー・ナン役(ハイ・チン)

シャー・ナン役
ハイ・チン
(当時:40歳)

【ざっくりあらすじ】

とある国で内戦が勃発し、現地に多くの中国民が取り残された。

激戦化する中、中国のエリート精鋭部隊が救出に成功するも、

帰路の途中で一人の女性がテロリストたちにさらわれてしまう。

部隊はたった8人で、150人のテロリストが渦巻く本拠地へ救出へ向かうことになる。

みやごん

【ちょっと感想】
なかなか中国映画は馴染みがありませんが、たまたまレンタルビデオ屋さんでパッケージ借りをし、巡り合った当たり作品です!
前半は少しスロースタートですが、アレコレ国情を理解できなくても、中盤以降のドンパチは十分に楽しめます。
丸坊主の女兵士ドン・リー役の「ジャン・ルー・シャー」個人的に激推しです!
2018年当時、中国歴代興行収入2位を記録したメガヒット・ミリタリーアクションを是非!

追伸:
「蛟竜(コウリョウ)」とは、「時運にめぐり会えず、実力を発揮できないでいる英雄」という意味もあるそうです。
そうです、まさにボクのことです。

【映画】『オペレーション:レッド・シー』が面白い理由
(ストーリー論的に解説)

この度、初めて中国映画のご紹介となります。
2022年現在でも、中国映画興行収入において、堂々の9位にランクインする記録的大ヒット作品です。
話の内容としては、いわゆる「軍隊(ミリタリー)もの」で、史実がベースにされているそうです。
(2015年に中国海軍が内戦中のイエメンから、中国人571人、外国人約230人を救出した作戦とのこと。)

「蛟竜(こうりゅう)突撃隊」という中国海軍の精鋭部隊が活躍するド迫力の映像作品です。
どちらかというと、ストリート展開というよりかは、映像の迫力や、本物の海軍指導の下で描かれる戦争リアリティを楽しむ作品ですが、本項ではストリート論の観点から「トラブル・ジャスティス」という概念について考察、解説させていただきます。

「トラブル・ジャスティス」とは筆者の造語ですが、平たく言うと「トラブルを巻き起こす正義感の強い人」という意味です。
本作で言うと、冒頭から出て来ていた女性ジャーナリスト記者(シャー・ナン)のことを指します。

この「トラブルを巻き起こす正義感の強い人」は、物語にとって、とてもいい効果をもたらしてくれますので、その辺りをご説明させていただきます。

まず、以前、別の記事でご紹介した通り、物語を面白くするためには、あれこれ「波風」を立てなければなりません。
「とある一家が毎日幸せに過ごしていましたとさ。めでたしめでたし」では面白みに欠けてしまいます。
要は、物語がスムーズにゴールにたどり着かないようにしないといけません。

そのための手法はたくさんありますが、よく物語の中盤以降で追加的に導入されるのが、この「トラブル・ジャスティス」です。
「余計なことしなければスムーズに解決するのに、正義感の強いメンバーが”こうするべきだ!”という追加の提案や反対の提案をすることで、本来の作戦が困難に見舞われる」といった感じです。

本作では、物語の終盤に以下のような状況がありました。
・作戦は人質になった中国人女性一人を救出。
・中国人女性はテロリストのアジトに幽閉されている。
・アジトには150人のテロリストがいる。
・アジトには、他の外国人人質がいるが、その人たちは救出しろとは言われてない。


ここで、命令通りに、中国人女性一人を救出するだけであれば、コッソリと助け出して作戦終了でしたが、「トラブル・ジャスティス」であるジャーナリスト記者が「人質は全員助けられないの?」といったニュアンスを醸し出します。
で、結果、女性の雰囲気に負けた体調は、人質全員を救出する作戦に変更しますが、そのせいで、たった8人でテロリスト150人と正面からドンパチする羽目になってしまいます。
この、めちゃくちゃピンチな状況が、より物語に緊迫感をもたらせ、面白くしていました。

他の例としては、
・裁判で軽い罪を認めれば軽罪で済むのに「私は無罪です!」と真実を主張し続ける冤罪の人。
・やっと追い詰めた敵に、とどめを刺せば終わるのに、「殺しは良くない!」と言って敵を逃す正義の戦士。
・ゲームで裏技を使えば勝てるのに「ズルしたくない!」と言って格上の相手に正面から立ち向かうスポーツマン。
・違法な裏取引すれば、長年追ってる犯人を捕まえられるのに「そんなことは出来ない!」といって情報をふいにする刑事。


ここで重要なのが、「その提案が、正義感にのっとった提案」であるという点です。

例えば、人質を救出する作戦で、見事に人質たちを牢屋から出した時、一人のメンバーが、
「なぁなぁ、ここにあるお宝もついでに貰って帰ろうぜ!」と私利私欲の提案をしても、
「荷物が増えて作戦が失敗する可能性が高くなるからダメ!」とすぐに却下され、障害や困難になってくれません。

しかし、本作のように、きちんとした道徳観にのっとり、提案の内容が正義であることで、却下されにくくなります。
(言い分はもっともですし、できれば、他の人質も救出したいことだからです。)

本作のような軍隊ものであれば、ピンチはいくらでも演出は可能ですが、ただただ、軍隊とテロリスト同士のぶつかり合いやドンパチだけでは、少しバリュエーションにかけてしまいます。
「こっちが優勢だー。でも敵がもっと強い武器を出してきたー。でもこっちには応援が駆け付けたー!でも敵は戦車を出してきたー」といった変化の薄い展開を繰り返すよりも、その過程で、こうした正義感に基づいた予定外の作戦変更などが起こることによって、想定外の展開を生むことが出来るのです。
(「起承転結」で言うところの転の部分を担う役割ですが、結果、ストリートの中で一番のドンパチが起こっていました。)

以上、『オペレーション:レッド・シー』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧、ありがとうございました!

「余計な正義感」が追加のトラブルを生んでくれる!!

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この記事を書いた人

~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~

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