■今日のつまらない無駄話(導入)
暗黒月曜日を迎えた今日この頃、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
ボクはというと、もちろん、蓄積された疲労から、実年齢より10歳老け込んだ顔を垂れ下げております。
いや、よく考えたらですよ、
週5日働いた分の疲れが、たった2日で癒える訳ないじゃないですか!!!
こんな理不尽が許されていいのでしょうか???
「普通はそういうものだ」「みんな同じなんだ」という理由で時間を搾取されている現状、
こんなヒドい状況が横行しておきながら、何が「法治国家」か!
国は一体、何をしているのだ???
あ、、、「法治国家」じゃなくて、「放置国家」ってことだったのか…。
せめて、せめて週4日労働にしてほしぃ…。
さて!
本日はそんな4日、96時間というタイムリミットに追い込まれた、いぶし銀なお父さんが大活躍するおすすめ映画作品のご紹介です♪
『96時間』
■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:誘拐奪還・アクション
■放映時間:1時間33分
■発表年度:2009年
■製作の国:
・アメリカ合衆国
・フランス
■映像監督:ピエール・モレル
■脚本作家:
・リュック・ベッソン
・ロバート・マーク・ケイメン
■興行収入:約195億円
ブライアン・ミルズ役
リーアム・ニーソン
(当時:57歳)
キム役
マギー・グレイス
(当時:26歳)
レノーア役
ファムケ・ヤンセン
(当時:45歳)
スチュアート役
ザンダー・バークレー
(当時:54歳)
シーラ役
ホリー・ヴァランス
(当時:26歳)
サム役
リーランド・オーサー
(当時:49歳)
ジャン=クロード役
オリヴィエ・ラブルダン
(当時:50歳)
元CIAの主人公は、娘を人身売買組織に誘拐されてしまう。
娘を取り戻すまでの猶予が96時間だと知り、主人公は単身フランスに乗り込む。
闇のキャリアと歴戦の古腕を発揮し、娘を取り戻すため、犯罪組織へ立ち向かう。
【ちょっと感想】
とっても丁寧でハイクオリティな作品です。
ひとつひとつの言動に納得感を宿した作り、飽きさせません!
主人公リーアム・ニーソンの渋さもベストマッチ♪
ありきたりな設定ながら、高品質な展開を楽しみたい方は是非!
追伸:
「このブログで大儲けして、社畜生活から脱出して、Fカップスレンダー美女と結婚するという夢があるのですが、何かアドバイスはありますか?」
「あるわ。別の夢を探すことね。」
【映画】『96時間』が面白い理由
(ストーリー論的に解説)
今回のご紹介と考察は、『シンドラーのリスト』でおなじみ、「リーアム・ニーソン」主演のノワール・アクション作品『96時間』です。
*「ノワール(Noir)」とは、フランス語で「黒」という意味で、映画作品などでは、人の闇や暴力、裏社会などをテーマにした作品群を表現する場合に使われます。
リーアム・ニーソンのはまり役具合や、娘役のマギー・グレイスをはじめとする、俳優陣のリアルな演技力など、映像作品としてとて面白い作品でした!
キャラクターの設定としても、「闇の仕事で疲れやつれた雰囲気」や、「家族に悩む人間としての温度感」など、どこか見る人の心の隙間に入り込むリアリティがあり、クオリティに配慮が見られました。
一方、ストーリー論としては、「誘拐された娘を能力者である父が奪還に向かう」という、王道ストーリー展開です。
そんなベタベタな設定ではありますが、頭ひとつ飛び抜けた面白さを引き出していました。
その理由としては、「バランス感覚が優れている」という部分でした。
順を追って、解説、考察していきます。
*本項は、具体的な方法議論というよりかは、感覚的なお話なので、ご承知おき下さい。
まず、ストーリーを面白く感じてもらうには、当然のことながら、視聴者に物語の内容をきちんと理解してもらう必要があります。
今の現状や展開の意味、起こった出来事が何を巻き起こすのか、どう関係して、どんな影響があるのか、などなど、都度しっかりと理解してもらうことが必要です。
しかし、この手の作品(CIAや犯罪組織がどうたらこうたら)は、それが守られにくい性質があります。
その主な理由としては、私たち視聴者が、その世界のことを知らない(専門知識や予備知識がない)ことが原因です。
危険地域、武器、組織、歴史、登場人物の役職や立場、それぞれの利害関係などなど。
CIAや犯罪組織を舞台にするのですから、それらに関連する専門用語などが出てくるのはある程度仕方ないことなのですが、楽しめる作品にするためには、この辺りはかなりネックです。
「MI5って何?」
「CIAの人って強いの?」
「CIAとFBIってそもそも味方同士なの? 警察とどう違うの?」
などなど。
スピードが早い展開の中、頭の中では、いちいちそれらの情報処理に追われ、?マークが多発しています。
気が付いた時には、追い付けない展開まで進んでおり、一気に白けてきます。
内容がよく分かってないので、自分とは関係の薄い話となっており、感情移入もできにくいです。
「ん~、なんかよく分かんないけど、今ピンチなの? ってかこの人誰だっけ…? 味方なの? 敵なの? あれ、さっき出て来た人って今、どうなってるんだっけ?」といった感じ。
いわゆる「しっくりこない」という状態がずっと続きます。
しかし一方で、「人は知らないものを知りたい欲」があります。
平和な日常生活を送る私たちは、怖いもの見たさでこういった世界のことを知りたいとも思うので、CIAや犯罪組織を題材にする際は、こういった「興味を引く」というメリットも内在しています。
では、どうすればいいか。
お察しの通り、「ちょうどいいバランスにすればいい」ということです。
例えば、
「今すぐ娘の捜索を中止する必要がある。この地域はMI5の管轄であり、麻薬カルテルと過激派組織の癒着がある。CIAの上等書記官がその権限を使って形式上の賄賂を投げることで冷戦状態に抑えているが、協定が破られればパリの中央情報局と三つ巴の戦争になってしまう」
って言われても、正直「…はい???」という感じになってしまいます。
そうではなく、
「実はCIAは情報収集のために、会員制のゴルフクラブに常駐している。そこは権力者たちが集まって情報交換がされているから。会員制なので信頼できる人達しかいないし、情報が外に漏れにくいから」
この程度であれば、「へー!なるほどぉ~」といった納得を得られます。
そして本題ですが、本作『96時間』が面白かったのは、上記よりもう一歩、上の技法が使われていたことです。
それは「知識の押し売りではなく、視聴者が持つ想像力にうったえかけていた」という点です。
先ほどのゴルフクラブ会員の例は、あくまで事実をそのまま表現しているだけですが、本作は、視聴者が持つ想像や想定に刺さる表現をしていました。
恐らく、視聴者は、本作を見る前には、
「多分、CIAって裏工作とかする、アメリカの正義の組織でしょ?警察より上の組織的な感じ?」
というような、何となくの想像と、うっすらとした知識だけを持って見始めますが、その辺りに刺さる(深く納得できる)演出が多々ありました。
例えば、
(例1.)人身売買の組織がどうやってターゲットを見定めるのか?
→「なるほど、空港でナンパして住所と素性を突き止めるって手法なのかぁ。」
(例2.)「…お前も捕まる。」
→「闇の世界を知り尽くしてる主人公だからこそ、こういう状況ではもうどうしもようもないってことを分かってるんだ!」
(例3.)「肋骨が肺に突き刺さるぞ!」
→「元CIA捜査官として、急所や、その責め方、人体の構造を熟知しているんだろうなぁ。」
(例4.)さらわれる娘に手がかりを言わせる。
→「ほんの些細な情報だけど、元CIAの腕にかかれば重要な情報なんだろうなぁ。誘拐捜査とかもこうやって犯人を特定していくのかも。」
(例5.)拷問の描写や人身売買のアジト。
→「世界ではこんな地獄絵図が日常だったり、雰囲気もこんな感じなんだろうなぁ…。」
こんな感じで、あえて「こうです!」と事実を押し売りするのではなく、さり気ない展開やセリフなどで、視聴者自身に自分を納得させる説明を作ってもらう、という演出でした。
人は他人から押し付けられた事実よりも、自分で見つけ出した答えや理屈の方が、心地よく深い納得が出来る心理があるため、とても有効でした。
もちろん、前提として、小難しい設定や専門用語が極力省かれており、「視聴者の置き去り」を避け「視聴者に歩み寄った丁寧な作品」というのが土台としてあることは、忘れてはなりませんが、「視聴者にちょうどいい知識を教える」という側面でバランス感覚を保つより、「視聴者が持つ想像力を想像して表現のバランス感覚を保つ」という方がかなり高等テクニックです。
以上、『96時間』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧、ありがとうございました!
バランスを考えつつ、視聴者の想像力を想像すべし!
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