【面白い物語.74】映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
さぁさぁ、やってまいりました!
現在、日曜日の夕方に差し掛かろうとしているこのの時間。
盛大にこの言葉を放ちましょう。
「時を戻そう」(ぺこぱ風)
( ´_ゝ`)
さて!
本日は自分の人生を懸けて一生懸命に時を戻そうとする青年の、おすすめタイムスリップ・コメディ映画をご紹介です!
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
【基本情報】
■メディア:映画
■ジャンル:タイムスリップ・コメディ
■放映時間:1時間56分
■発表年度:1985年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:ロバート・ゼメキス
■脚本作家:
ロバート・ゼメキス
ボブ・ゲイル
■興行収入:約560億円
マーティ・マクフライ役
演:マイケル・J・フォックス
(当時:24歳)
エメット・ブラウン(ドク)役
演:クリストファー・ロイド
(当時:47歳)
ジェニファー・パーカー役
演:クローディア・ウェルズ
(当時:19歳)
ジョージ・マクフライ役
演:クリスピン・グローヴァー
(当時:21歳)
ロレイン・ベインズ・マクフライ役
演:リー・トンプソン
(当時:24歳)
ビフ・タネン役
演:トーマス・F・ウィルソン
(当時:26歳)
ジェラルド・ストリックランド教頭役
演:ジェームズ・トールカン
(当時:54歳)
ゴールディー・ウィルソン役
演:ドナルド・フュリラブ
(当時:27歳)
マーヴィン・ベリー役
演:ハリー・ウォーターズ・Jr
(当時:32歳)
【ざっくりあらすじ】
科学者博士が開発したタイムマシンにより、30年前にタイムスリップしてしまった主人公。
未来へ戻るため、過去の博士と共に再度のタイムスリップに挑戦することになる。
しかし、過去の世界で将来自分の両親になる男女に出会ってしまったことで運命が狂い始める。
【ちょっと感想】
タイムスリップコメディ、伏線回収のお手本のような作品ですね!
とってもセンスのあるストリート展開で、エモさ爆発です。
ああいう、心のすき間に入るような的を得た描写、人生経験がものを言うのでしょうが、勉強になります。
1985年の全世界における最高興行収入を記録した心に染み入る名作を是非ご覧ください。
追伸:ボクが過去にタイムスリップしたら、名前は「ビーブイディー」になります。
【映画】『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
今回は1985年発表、タイムスリップ作品の代名詞とも言える『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のご紹介です。
コメディ基調で分かりやすい展開が素晴らしく、あちこちに納得の深い伏線回収はとても見事な名作だと思います。
マーティが未来から来たことを、比較的ドクがすんなりと理解したこと、過去の母ロレインが、過去の父マクフライを必要以上に毛嫌いしていないところも、絶妙なバランスで、細部の神を感じました。
(過剰演出ではない。)
そして、ドクの死を告げられないマーティをはじめ、もろもろの歯車が本当に見事なまでにかみ合った構成はとても素晴らしいものでした。
さて、他の作品同様、本作の面白さは実際にご覧いただき、感じ取っていただきたいところですが、本項では、「伏線回収」について、少し掘り下げていきたいと思います。
内容を整理しつつ、この作品の秀逸な部分を考察、解説させていただきます。
まず「伏線回収」について。
これは、簡単に言うと、何かの「フリ」と、それに対する「答え」です。
例えば、
・友人から記念メダルを貰った。
・その後、銀行にいたらいきなり強盗が入って来て胸を撃たれた。
・しかし、貰った記念メダルを胸ポケットに入れていたから、命が助かった。
こんなパターンです。
特徴としては、記念メダルを貰った描写は何気なく描かれサラッと流されるので、違和感や引っかかりがありません。
で、銃で撃たれて「実はメダルのお陰で助かったー」と回収されるので、サプライズ感があります。
それと共に、アハ体験に代表されるような「なぁ~るほどぉ~」といった脳内快楽物質で心地よくなります。
理屈の通った納得感がによる快感です。
本作はタイムスリップものがベースでしたので、それらの特徴が如実に表れていました。
タイムスリップする前のいろいろな日常がフリになっており、過去に行って、そして現代に戻って来て、いろいろと回収されています。
では、本作においては、どの辺りが秀逸だったのか。
それは、視聴者に対して「補足説明をさせていた」という部分です。
一番、顕著なシーンである、主人公マーティと過去の母ロレインが車の中で二人っきりになる場面を取り上げてみます。
母ロレインは、1985年ではとてもお堅い母親です。
「女性から積極的にアプローチなんてダメ!自然に男女は仲良くなるもの」という考えで、子どもの男女交際にも目を光らせています。
しかし、実際1955年では、とても積極的で、学校カーストでも上位のイケイケ女子高生です。
パーティーの夜には、酒、たばこ、胸の開いたドレス、そして自らマーティに覆いかぶさるようなキス。
言動が一致していない女性でした。
このシーンを見て、多くの人は、
「なんだよ。子供たちにはあんなこと言っておきながら、自分はメチャクチャふしだらなんだ」
という意見と共に、
「まぁそりゃ、自分が母親の立場ならああも言うか。でも自分が年頃のイケてる女子なら、それなりにやんちゃだよね~」
「ロレインも母親のしつけが厳しいから反発してるのかな?それもありえるねぇ~」
「もしかして、この時代では、不良って方がイケてる風潮なのかなぁ?1950年代ならありえるか」
などなど。
見ている人は、それぞれの視点から、補足的な解釈を付け加えます。
それは、表面上の理屈部分だけでなく、心のすき間のもう一歩奥に入り込んだ、私的感情や解釈の部分です。
平たく言うと人間くさい部分、感情的な部分で、同時に心に響きやすい部分でもあります。
これらは、実に妙~な納得感や、しっくり感があり、腑に落ちる部分とも言えます。
逆を言うと、表面上の理屈の部分、つまり答えがひとつしかなくて、私的な解釈などが発生しないものもあります。
例えば、『シックス・センス』という映画。
主人公は途中、レストランで妻と会いますが、妻は一切こっちを見てくれません。
しかしそれは、実は主人公はすでに死んでいたからでした。
それを見て「な~るほどぉ~」とはなりますが、それ以上のアレコレといった補足的説明は生まれません。
(無論、これが悪いという意味合いではありません。この作品やシーンは、素晴らしく納得感のあるものです。)
本作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はタイムスリップコメディを基調とした人間ドラマなので、この辺りの「心の補足解説が生まれる」というものがとてもマッチしていて、痒い所に手が届く、心の底の部分を掴むのがとても上手い描写が多くありました。
他にも、心の中で補足的解説が生まれるシーンが多くあります。
・科学者のドクは飼い犬に「コペルニクス」「アインシュタイン」と名前を付けている。
→「あ~、憧れがあって少しでも近づきたいと思ってる感じね。なかなか夢が叶わなくてもがいてる人が自分のメアドにDREAMS COME TRUEとかつける感じか」
・主人公マーティと過去の母ロレインが車中でキスをする。
→「そりゃ今は違うけど、遺伝子的に言えば息子なんだから、弟みたいな感じがするのは当然でしょね~」
・現代に戻ったら兄デイヴィッドが会社員になっていた。
→「そうそう、バイトじゃなくて会社員ならスーツ着て姿勢よく優雅に朝コーヒーを飲む感じだよね。パンかじりながら時間ギリギリに家を飛び出る感じじゃないよね~」
などなど、どれも理屈がどうのということではありませんが、心レベルで妙な納得感が生まれています。
もちろん、この「心の補足説明」は伏線回収だけに使えるものではありません。
視聴者の心を掴む上では、心の動きを予測し演出をデザインする過程でとても有効性の高いものです。
他にも、遊び心のある伏線回収などもありましたが、やはり本作では、伏線回収において、理屈やロジカルレベルにとどまらず、感情や心を繊細にデザインしていたのが素晴らしい部分でした。
以上、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
心のすき間に入り込む絶妙な納得感はとても効果的!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
コメント