【面白い物語.90】映画『レインメーカー』
【今日のつまらない無駄話(導入)】
今日いよいよ、会社の人事に介護休暇の申請を出しました。
が、しかし…。
一人につき年間5日しか許可されないなんて…。
介護がたったそれだけで賄える訳ないでしょうが!
こんな法律は断じて許せん!
「訴えてやるぅ~!」(ダチョウ俱楽部風)
さて!
本日は若き青年弁護士が、弱き者たちの代弁者となり、巨大企業相手に訴えを起こすおすすめ法廷ドラマのご紹介です!
『レインメーカー』
【基本情報】
■メディア:映画(洋画)
■ジャンル:法廷クライムドラマ
■放映時間:2時間15分
■発表年度:1997年
■製作の国:アメリカ合衆国
■映像監督:フランシス・フォード・コッポラ
■脚本作家:フランシス・フォード・コッポラ
■原作作家:ジョン・グリシャム『原告側弁護人』
■興行収入:約67億円
ルディ・ベイラー役
演:マット・デイモン
(当時:27歳)
ケリー・ライカー役
演:クレア・デインズ
(当時:18歳)
デック・シフレット役
演:ダニー・デヴィート
(当時:53歳)
ブルーザー・ストーン役
演:ミッキー・ローク
(当時:45歳)
ドット・ブラック役
演:メアリー・ケイ・プレイス
(当時:50歳)
ドニー・レイ・ブラック役
演:ジョニー・ホイットワース
(当時:22歳)
レオ・F・ドラモンド役
演:ジョン・ヴォイト
(当時:59歳)
ウィルフレッド・キーリー役
演:ロイ・シャイダー
(当時:65歳)
タイロン・キプラー判事役
演:ダニー・グローヴァー
(当時:51歳)
ジャッキー・レマンシック役
演:ヴァージニア・マドセン
(当時:35歳)
バードソング(バーディ夫人)役
演:テレサ・ライト
(当時:79歳)
ハーヴェイ・ヘイル判事役
演:ディーン・ストックウェル
(当時:61歳)
プリンス・トーマス役
演:ウェイン・エモンズ
(当時:60歳)
【ざっくりあらすじ】
新人弁護士の主人公は、白血病を患った青年を担当することになった。
青年は支払われるはずの保険金が下りないことで、命の危機に立たされていた。
主人公は熟練弁護士チームを雇った巨大保険会社相手に保険金裁判を行うことになる。
【ちょっと感想】
法廷ドラマとして素晴らしいクオリティでした!
若かりし頃のマット・デイモンは、なんとも可愛いイケメン青年でハマり役。
新人ぶりが分かり易く描写されているのもGood!
裁判ものや保険制度を扱った内容でありながら、視聴者を置き去りにしない丁寧な演出がとても好感触です!
本作を見て、改めて悪役の描き方を学ばせていただきました。
当時1997年の全米週末興行収入成績初登場第3位を記録した、ちゃんとヒットした隠れた名作を是非ご覧ください!
追伸:
タイトルの「レインメーカー」は、金を雨に例え、「雨が降るように大金を稼ぐ弁護士」を意味しているそうです。
てっきり、辛い日常にいつも涙雨を流している人の例えかと思いました(ボクのように…)。
【映画】『レインメーカー』が面白い理由
(ストーリー論的に考察・評価・レビュー)
本日は、法廷ドラマ作品『レインメーカー』のご紹介です。
若かりし頃のマット・デイモンが主演を務めていますが、『氷の微笑』や『ブラックレイン』でおなじみの俳優「マイケル・ダグラス」が製作としても参加しています。
同年、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』が世間の注文を集めてしまったため、『レインメーカー』は隠れた名作と言っていいと思います。
法廷ものも、今やストーリー作品の中では一大ジャンルですが、ざっくり分けると、以下にカテゴライズされます。
1.冤罪系ミステリー:無実の人が誤解されている状況での、もどかしさの解消による快感。
2.レジスタンス(逆転)劇:基本は勧善懲悪で、悪に対して怒りを沸かせる感情の揺さぶり系。
3.推理探偵要素:法廷を舞台としながらも、被告が死刑を望んでるなどの状況にて謎を解明していく(好奇心をそそる)。
基本構造としては、2である、弱者が巨大権力に立ち向かう逆転劇、レジスタンス劇でした。
強者の陰謀や、女性への暴力など、「許せない!」という感情を揺さぶりやすい描写が多々あり、没頭できる内容です。
もちろん、法廷ものとしても、押して引いての繰り返しで飽きさせない構成が目を引いていました。
さて、ご説明した通り、この手の作品群は、いかに感情を揺さぶるかがカギになってきます。
そのキーマンやずばり悪役で、いかに「コイツまじで許せない!」という感情をデザインするかが要となります。
以前、「悪役への怒りの原動は、犯した罪の内容ではなく、性格」という考察をさせていただきました。
大義名分を持ったカッコいいスナイパーが暗殺をすることより、自分勝手で空気を読まないオバサンの方が、怒りが湧くという内容でした。
本項では、その付加考察として、「ズルさ」という部分を集中考察していきたいと思います。
本作『レインメーカー』では、実に多くの「怒り」がデザインされていました。
● 経験や人数、予算などでマウントを取り、裏工作を行う悪徳弁護士。
● 違法な保険商売をしているのに法廷で開き直る会社社長(+明らかに現場を知らない)。
● 自分が暴力をふるったクセに相手のせいにする暴力男。
● 勝手に部屋に入って泥棒まがいのことをしていたクセに、開き直るバーディ夫人の親族。
観ていてとてもむしゃくしゃする展開ばかりですが、彼ら彼女らは、決して大量殺人犯などではありません。
(会社社長は関節的にはそうかもしれませんが。)
アクションものやホラーもので出て来るそれより、とても憎い対象として機能していました。
彼ら彼女らに共通する要素はずばり「ズルさ」です。
自分が明らかに悪いことは明白なのに、それを認めようとせず、開き直り、正当化し、隠そうとする行為が、目に余りました。
悪役に対し怒りを沸かせるには「性格」というのがひとつの大きな要素ですが、もう少し解像度を上げると、その性格から発する「ズルい行為」が、中心的なポイントということになります。
彼ら彼女は、悪事や卑劣な行為を犯しましたが、その上で正々堂々と深い謝罪を行ってしまえば、「なんだ、結構いいヤツなのかな…」と怒りが鎮火してしまいます。
あくまでに、逃げ通そうとする感じ、罪を認めようとしないあがきなどがあり、より憎しみが増幅していきます。
「ふざけんな!悪いのはお前だろうがぁ!」
「私たちは法律にのっとって戦っています~的なお上品にドヤ顔しやがって。明らかに人数で圧力かけてんだろうが!」
「お前のせいで人が死んだんだ!もっと申し訳なさそうにしろや!」
などなど。
視聴者に対して、こういった心の声を生ませていた本作は、とても秀逸な悪役のデザインに成功していたと言えます。
以上、『レインメーカー』という作品に秘められたの面白さの正体についての解説と考察でした。
ご高覧くださり、ありがとうございました!
(また読んでね^^♪)
悪役に対し憎しみを生むためには「ズルさ」が効果的!
この記事を書いた人
~物語論研究20年~
~処女作が大手小説新人賞一次に通過~
~ポートフォリオ作品が新人賞最終選考~
~高い実績を持つ業界専門家から指導経験有~
~文章/文書に関し多くの資格を保有~
~大手外資系企業勤務(一流社畜)~
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